各業界とIoTの関係
志村氏:東洋ビジネスエンジニアリングの志村です。われわれは、東洋エンジニアリングという会社から、1999年に分社独立した会社です。分社前に日本で一番最初のSAPのパートナーになったこともあり、統合基幹業務システム(ERP)ビジネスを扱っています。工場の建設をしているなかで、生産管理の仕組みを入れていくことになり、ソフトウェアのシステムを扱っていた部隊がERPをやり始めた結果、SAPのサプライチェーンの部分のニーズが強く、分社化したという背景があります。
東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
われわれは、顧客の80%以上が製造業です。ERPの導入で顧客の課題を整理していたことで、業界知識があり、そこにIoTの流れがやってきたので、ERPのゾーンとIoTと呼ばれている現場の部分が融合していくことになりました。会社の歴史上にFA(Factory Automation) やCIM(Computer Integrated Manufacturing)を扱っていた経験があり、ERPをはさんでIoTの時代に来ているので、やっと企業が持っているシステムのレイヤをつなげることができました。
エンジニアリング業界はEPC(Engineering, procurement and construction:設計、調達、建設の流れのこと)と呼ばれていて、個別で作っても利益率が高くないという仕組みがあり、FA、CIMは粗利率が低く、商売が難しかったのです。ERPは利益率が高い商売だったのですが、あえて先祖返りをして、ERPをFA、CIMの部分とつなげたことで、新しい価値が生まれました。われわれはIoTだけで商売をするというよりは、今まで持っていたERPの部分、つまり「モノの動きとお金の情報をリアルタイムでつなげられるようになる」というところを標榜して進めています。
道具立てとしては、製造業の顧客は「安くて、短くて、すぐやりたい」という要望があるので、ソラコムなどと一緒に取り組んでいます。「簡単IoT」と呼んでおり、顧客には「インダストリー3.2くらい」と伝えています。4までは行けなくても3の少し上に行くことを目指して顧客と一緒に展開していく。IoTに関してはそんな戦略です。
武下氏:エスキュービズムの武下です。エスキュービズムは2006年設立で、私が入ったのが2007年の後半くらいです。もともとは、「EC-Orange」というブランドで、企業向けにeコマースのシステムやサイトの構築をしていました。iPadが出た頃に、小売業界でネットとリアルを融合するという議論が出てきて、iPadがレジスターになるという発想がありました。
小売業界では昔から顧客データや在庫データを一元管理したいというニーズがあったので、eコマースの仕組みと店頭のレジを一つのプラットフォームで動かせば良いと考え、ソフトを展開しました。一つのデータベースで管理でき、ネット経由の買い物で付与したポイントをリアルな店舗で利用できるというシステムをEC-Orangeシリーズで提供していました。
3〜4年前にセブンイレブンが「オムニチャネル」というキーワードにフォーカスし、いつでもどこでも商品を買って受け取れる流れが起きました。そこで、店舗展開されている小売業向けにEC経由の製品を店舗で受け取るなどオムニチャネルのシステムを提供するサービスに変遷していきました。