IoT関連のビジネスを推進している企業が現れ始め、国もその動きを加速させている。これまでIoT関連の事業では、既存のビジネスの「カイゼン」などに重点を置いたものが多かったが、今後、IoTで新しいビジネスを創るには、何が必要なのか。IoT分野で新規事業を推進するために必要な考え方や事例を、新興ベンダーを中心に議論する。今回は1回目。参加者は以下の5人。
参加者(順不同)
- ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
- エスキュービズム 取締役 武下真典氏
- シーオス 代表取締役社長 松島聡氏
- ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
- 東洋ビジネスエンジニアリング ソリューション事業本部 IoTエンジニアリング本部 本部長 志村健二氏
それぞれの事業者によるIoTへの取り組み
ウフル 専務執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼氏
ZDNet:まず、各社の自己紹介とIT領域の取り組みをお聞きしてから、議論を深めていきたいと思います。では、八子さんからお願いします。
八子氏:株式会社ウフルの八子です。私はウフルに入ってからはまだ1年ですが、これまでシスコシステムズやデロイト トーマツ コンサルティングで、通信及びハイテクの領域を担当していました。2008年頃からクラウドに着目し、モバイル事業者とクラウドを組み合わせたビジネスモデルとして、「モバイルクラウド」というコンセプトを提唱していました。クラウドのビジネスをマーケットに比較的ニュートラルな立場から、旗振り役として進めています。
モバイルとクラウドを組み合わせた先の可能性として、当時の言葉で言うとM2M、今で言うとIoTといったビジネスの可能性を考え、2011年頃は「新世代M2Mコンソーシアム」もやっていました。ウフルに来てからは、シスコでの経験をもとに、「IoTイノベーションセンター」という、同じくマーケットに対して比較的ニュートラルなセンターを立ち上げています。一社ではIoTのビジネスを立ち上げにくいので、いろいろなパートナーと複数のレイヤでソリューションや技術を積み上げることで、一つのビジネスモデルを作れないかと、いろいろな企業とエコシステムを作るべく邁進(まいしん)しております。
会社自体はセールスフォース・ドットコムのインテグレーターから始まっていますが、すっかりIoTで知名度が上がりました。現在はサービスプロバイダ及びコンサルティングという少し上流に軸足を置こうとしており、ビジネストランスフォーメーションの最中にいます。