現在では、ほぼすべてのWindows開発者がGitで作業している。今後数カ月間で、残る500人のプログラマーがGitに移行する予定だ。
Microsoftには、移行を行うべき理由がいくつもあった。Harry氏は、「稼働しているシステムの規模は驚くべきものだ」と述べ、いくつかの数字を挙げた。
- リポジトリの履歴に残っている、過去4カ月間の到達可能なコミットは25万件以上
- 1日あたりのプッシュは8421件(平均)
- 1営業日あたり2500件のプルリクエスト、6600人のレビュワー(平均)
- アクティブトピックブランチ4352件
- 1日あたり1760回の公式ビルド生成
Microsoftは、遠隔地でも快適に利用できるよう、GVFSのチューニングを続けている。Harry氏は、「Windows Team Servicesアカウントは、米国西海岸にあるAzureのデータセンター内に置かれている。(中略)Windowsエンジニアがクローンにかかる時間は、その80%が127秒以内に収まる。Windowsエンジニアの多くはレドモンドにおり、この数字の大半は彼らによるものだ」と説明する。
「われわれはノースカロライナのオフィスからテストを行った(距離も遠く、ネットワークの帯域もかなり細い)。プロキシを使用せずにノースカロライナからクローンを実行すると、約25分かかった。プロキシを設定し、状態が最新の場合、かかった時間は70秒だった(レドモンドよりも高速だが、これはレドモンドのチームがプロキシを使用しておらず、インターネット経由で数百マイル先のAzureのデータセンターにアクセスする必要があるためだ)。25分が70秒になるというのは、約95%の性能改善に相当する」(Harry氏)
どうだろうか。Microsoftは、GVFSが使われれば喜ぶだろう。GVFSはオープンソースプロジェクトであり、誰でも試しに使ってみることができる。それには、ソースをダウンロードしてインストールし、GitリポジトリにVisual Studio Team Servicesアカウントを作成するだけでいい。他のGitクライアントには、「Atlassian SourceTree」や「Git Tower」などがある。
皮肉にも、まだGVFSをサポートしているLinux用のGitクライアントはないが、MicrosoftにはLinuxとMacもサポートしたいと考えている。MicrosoftのプログラムマネージャーSaeed Noursalehi氏は、GitHubの課題リストで、「ぜひMacとLinuxをサポートしたいと考えており、これらのプラットフォームのファイルシステムに詳しい人材を探している」と述べている。
LinuxとGitの生みの親であるLinus Torvalds氏は、かつて「MicrosoftがLinuxのアプリケーションを作ったら、わたしの勝ちだ」と言ったことがある。MicrosoftがWindowsの開発にGitを使い始めたことも、勝利と見なしてよいのではないだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。