リアルタイムでパブリッククラウド業界上位3社の四半期業績を比べられる機会は多くない。しかし今回はたまたま、Amazon、Microsoft、Alphabetが数分差で相次いで業績報告書を発表した。
この記事では、そこから何が読み取れるかを紹介する。
勝ち組AWS
Amazonが開催した第1四半期業績報告カンファレンスコールの「Amazon Web Services(AWS)」に関する部分は、普段通りややビジネス的なものだった。AWSの年間ランレートは140億ドルに達する。値下げが行われたにも関わらず、AWSは同社でもっとも収益性が高い事業だ。Amazonの最高財務責任者(CFO)Brian Olsavsky氏は、いくつかのポイントに言及した。
AWSはデータベースのワークロードを獲得しており、猛烈なペースで新たなサービスをリリースしている。Olsavsky氏は次のように述べている。
イノベーションのペースは引き続き加速している。当社は第1四半期にリリースしたサービスに満足している。顧客にカスタマーサービスのような機能を提供する「Amazon Connect」や、顧客から支持を得られると考えられる「Amazon Chime」がリリースされた。当社の新サービスは非常に普及している。2016年にリリースされたデータベース移行サービスを使って、これまでに2万3000件のデータベースが移行された。また一般的に言って、当社は地理的にも拡大している。世界中でアベイラビリティゾーンとリージョンの追加が発表された。また今回も、多くの大規模顧客を獲得した。
前受収益は、AWSでリザーブドインスタンスの購入が増えていることで押し上げられている。これは、顧客が割引を受けて持続的なワークロードをAWSで実行するようになっているためだ。
12月1日から値下げが実施されているが、Amazonは値下げはいつものことだと述べている。ただし、Amazon Chimeやその他の新サービスは、IaaSサービスの値下げ分の減収を埋め合わせることができるかもしれない。AWSはスタックの上位レイヤに進出しつつある。
ハイブリッド市場を狙うMicrosoft Azure
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が、第3四半期業績報告カンファレンスコールで行った発言の最大のポイントは、同社がハイブリッド開発とクラウド移行の市場を狙い撃ちにしているという点かもしれない。「Office」にせよ、「Dynamics」や「Windows Server」にせよ、同社の主要製品には、Azureへの分かりやすい移行ルートが用意されている。実際、Microsoftはオンプレミスの売上とクラウドの両方を伸ばすことができる、数少ない従来型IT企業の1つだ。Nadella氏は次のように説明している。
当社は、依然として社内で使用する製品を必要とするオンプレミス顧客の巨大な顧客ベースを持っており、この状況は今後も続くが、当社が力を入れているのはクラウドへの移行だ。ご存じの通り、この方針は「Office 365」では成功している。これはAzureでも進められており、従来CRMやERPと呼ばれてきた主流(のワークロード)でもこれを進める準備ができている。