玉川氏:ただ、ソラコムには通信のシェアリングエコノミー的なところがあります。(IoTのインフラ部分を設計するという)すごく面倒くさいところをひきうけて、それを切り売りしているという点ではシェアリングエコノミーです。起業家や新規ビジネスをやる方はその視点を持っていた方が良いのではないかと思います。

ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
もう一個は、「歴史的な揺り戻し」について。トランプ大統領になって、“シェアリングよりもローカルだ”みたい潮流があったり、ワールド・イズ・フラットになっていたけど、欧州連合からのイギリス脱退(Brexit)があったりと。
それでも、人類の歴史的な観点では飢餓はずっとなくなっていて、それはテクノロジがサポートしているので、シェアリングエコノミーという考え方も、歴史的には大事な峠かなと思っています。
2016年読んで一番面白いなと思ったのが、『The Zero Marginal Cost Society(限界費用ゼロ社会)』という本で、電気であれ車であれ、モノであれ、何かを作るときのコストがどんどん小さくなるよという世界なんですよね。
そこには確実に向かっていくだろうなと思っています。マージナルコストはゼロになっていくので、今までと同じビジネスでは、一個あたりで稼げる量はすごく少なくなって、払うコストもすごく少なくなる。
全体的には、サスティナブルな社会を作っていこうとするならそちらが正しくて、そこに向かう大きな流れは誰も止められません。日本はそれを先取りした方が良いんじゃないかなと思っています。
具体的に言うと電気なども、中央発電型は心理的には崩壊したと思っている人もいるでしょう。局所分散的な発電をIoTのテクノロジでつなげて、コストをすごく小さくしたエネルギーの調達の仕方にとりくんでいくべきだと個人的には思いますね。
そういう大きなビジョンを(人口が減っていく)日本のような国は持った方がいいかなと思います。