製造業を中心に統合基幹業務システム(ERP)パッケージなどを提供する米Inforは7月11日、クラウド環境で展開する業界特化型アプリケーション群の「Infor CloudSuite」で人工知能(AI)プラットフォーム「Coleman」を提供すると発表した。同社の年次コンファレンス「Inforum 2017」(7月10~12日)で最高経営責任者(CEO)のCharles Phillips氏が明らかにした。
Inforは各業界に特化した、マイクロバーティカルなERPパッケージを提供している。自動車や工業用機器、流通、ヘルスケア、航空宇宙、製薬など、その業種業界は幅広い。特に、製薬業界ではグローバル企業のトップ10社を、自動車サプライヤーではトップ20社を、それぞれ顧客として擁する。
Infor CEO Charles Phillips氏
CloudSuiteには、各業界特有の知見が加味された顧客関係管理(CRM)やマーケティング、財務、サプライチェーン管理、分析などのアプリケーションが包含されている。Colemanは、こうした各アプリケーションに蓄積されたデータを学習し、その業種に最適な施策を提示する。
利用するデータはオープンデータや第三者データ、SaaS型のサプライチェーン管理システム「GT Nexus Commerce Network」に蓄積された知見だ。これらを掛け合わせることで、例えば、在庫管理の最適化や効率的な輸送ルートの割り出し、故障予兆による適切なメンテナンスサイクルの提示など、業務プロセスの改善や運用効率化を支援するという。
Phillips氏は、「各業界にはそれぞれの“データの持ち方”がある。われわれは、長年蓄積した専門性の高いデータと業界知識を適切に活用することで、顧客企業が迅速な意思決定できるよう支援していく。Colemanはそれを具現化したものだ」と語る。
CloudSuiteに包含されるアプリや機能の一覧
チャットボットで業務を効率化
同社はColemanの特徴を「conversational(会話型)」「Augmentation(拡張)」「Automation(自動化)」「Advice(アドバイス)」だと説明する。
会話型とは、アプリケーションとの会話によるやり取りが可能になることを指す。Colemanは自然言語処理と画像認識技術を備えており、チャットでもやり取りできる。例えば、「××社の売掛金残高はいくらか」「××社に対する次のオファーに最適なものは何か」といったものから、「繁忙期におけるホテル室料設定は」といった質問を音声で入力するだけで答えが返ってくる。
Colemanは従業員の業務効率化を支援し、創造性を拡張させるものであると説くプレジデントのDuncan Angove氏