企業におけるブロックチェーンの普及に向けた取り組みを推進しているMicrosoftは米国時間8月10日、ブロックチェーンのパフォーマンスや機密性、統制の向上を目的とするオープンフレームワークの開発を発表した。
「Coco Framework」(Cocoはconfidential consortium、すなわち内密のコンソーシアムの略)と名付けられたこのフレームワークは、あらゆる台帳プロトコルへの対応とともに、プロセッサ上のセキュアな領域を利用するTEE(Trusted Execution Environment)との互換性を有したOSやハイパーバイザ上での動作を目指している。またMicrosoftによると、同フレームワークはオンプレミス上および/あるいはさまざまなベンダーのクラウド上で使用可能だという。
Microsoftは同日、Coco Frameworkに関するテクニカルホワイトペーパーを公開した。また同フレームワークは2018年中にオープンソースプロジェクトとしてGitHub上で公開予定だという。
同社は2015年11月以来、Blockchain-as-a-Service(サービスとしてのブロックチェーン)テクノロジの進歩に向けて取り組んできている。そして2016年にはブロックチェーンのテンプレート/ミドルウェアである「Project Bletchley」のバージョン1を公開している。Bletchleyの目的は、顧客やパートナー企業が「Ethereum」を用いたプライベートなコンソーシアム型ネットワークを構築できるようにすることにある。
「Microsoft Azure」を担当する最高技術責任者(CTO)Mark Russinovich氏は、「われわれは、ブロックチェーンによってほとんどの業界に変化の波が押し寄せると考えている」と述べるとともに、「顧客やパートナー企業がそういった波に乗れるよう、われわれは彼らと連携している」と述べている。
MicrosoftはCoco FrameworkをAzureに縛り付けようとはしていない。顧客は自社のデータセンターや他社のクラウド上でCoco Frameworkのノードを稼働させることもできる。またMicrosoftは、同フレームワークを配備するうえでの選択肢の1つとして、メモリ上のデータをよりセキュアにするためにCPUレベルでの仮想化拡張機能を活用した「Windows Virtual Secure Mode」を提供する。
提供:Microsoft
Coco Framework自体は分散台帳ではない。同フレームワークの目的は、さまざまなベンダーや組織によって生み出され、数が増えつつある分散台帳を支えるための土台を提供するというものだ。Coco Frameworkは現時点で既に、R3の「Corda」や、Intelの「Hyperledger Sawtooth」、J.P. Morganの「Quorum」、Ethereumをなどの分散台帳をサポートしようとしている。
Russinovich氏は、スケーラビリティ面での制約や、ブロックチェーントランザクションの参加者間における機密性の欠如、シンプルかつ一元化された統制機能の不足によって、多くの法人顧客がブロックチェーンの採用に二の足を踏んでいると述べている。Microsoftと、Coco Frameworkの開発を進める同社のパートナー企業は、スケーラビリティの高いノードのネットワークとともに、メンバーの統制がこのフレームワークによってもたらされると確信している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。