サイボウズが米国でのPaaS事業を強化するため、これまでの自前のIaaSから外部の汎用IaaSに移行することを決めた。その理由は何か。同社の青野慶久社長に聞いた。
「kintoneを国内データセンターで利用したい」との要望に対応
筆者の取材に応えるサイボウズの青野慶久社長
「米国のお客様からkintoneを国内データセンターで利用したいとの要望が寄せられるようになってきた」―― サイボウズの青野社長は同社のPaaS「kintone」の米国市場での事業展開を強化するため、これまでの自前のIaaSではなく、外部の汎用IaaSを採用することを決めた理由についてこう語った。
kintoneは、同社の主力製品であるグループウェアで培ってきたノウハウを基に、自前のIaaS「cybozu.com」上で手軽に業務アプリケーションを開発、運用できるようにしたPaaSである。同社は今、このkintoneを前面に押し出してグローバル展開に力を入れている。
kintoneのグローバル展開、中でも再挑戦となる米国市場での変遷については、2016年3月10日掲載の本コラム「グローバル展開を図る国産PaaSの“次なる一手”」をご覧いただきたい。さらにこのコラムに記した内容が、今回の取り組みの伏線となっている。
その要点は、「今後kintoneをグローバルに広げていくためには、Amazon Web Services(AWS)などの汎用IaaSを採用するほうが得策ではないか」とし、それが“次なる一手”になるのではないかと記したものだ。その理由は、事業拡大へのスケールメリットやコスト効率を享受できることにある。当時、この質問に対して青野氏は、「今のところ乗り換える予定はないが、今後の選択肢として検討はしている」と答えていた。