「SAP Vora」は、「HANA」、「Hadoop」ベースのデータレイク、「Amazon S3」などのデータリポジトリに保存されているデータのディメンショナルなクエリを実現する「Apache Spark」ベースのフロントエンドツールだ。ユーザーは、Voraを利用してデータに対してディメンショナルなモデルを定義し、プッシュダウンアーキテクチャを活用して、データを動かしたり複製することなくデータソースをクエリできる。
SAPは約2年前にVoraのプレビューを公開し、2016年3月に「HANA Vora」として一般提供(GA)を開始した。そして現地時間10月12日、SAPはVoraの最新版として「Vora 2.0」を発表した。
Vora 2.0ではコンテナアーキテクチャを使い、実装とクラスタ管理にKubernetesプラットフォームを活用する。この特徴によりVora 2.0は、コンテナベースの実装が一層ダイナミックで設定変更が容易なものとなり、よりクラウドレディで、ハイブリッドクラウド向けとしても魅力的なツールとなっている。
Vora 2.0は「Spark2.x」と互換性があり、その新機能を活用できる。SAP HANAとの密な統合を実現し、今後はMicrosoftの「Azure Data Lake」にも対応する計画だ。
SAPでグローバルバイスプレジデントとしてクラウドプラットフォームとデータ管理、プロダクトマーケティングのトップを務めるKen Tsai氏は、SAPが9月に発表した「Data Hub」についても説明した。Data Hubは、データパイプラインを実行するエンジンとしてVoraを利用しており、HANAとの統合のための独自技術を備える。Data HubはVora 2.0の特徴を活用できる。また、SAPのデータマーケットプレイスプラットフォームである「SAP Data Network」もVoraを使って、Vora 2.0のメリットを享受できる。
SAPはヒューストンを拠点とするCenterPoint Energyが、100社ほどの顧客の1社であると述べた。CenterPointは、Voraをスマートメータの分析に利用しているという。同社は、この機能を利用して、より優れた顧客サービスを実現できる。また、需要の予測にデータを利用することで、電力スポット市場を一層効率的に活用できる。
Data Networkに関しては、Schindler Elevatorを顧客として挙げ、同社はエレベータからのセンサデータをERP、天気、プロジェクトデータと組み合わせ、そのデータセットを有料で利用できるようにしていると説明している。SAP Data Networkは、完全なマネージドクラウド環境を提供しており、自社のデータを収益化しようとしている企業向けの優れた分散プラットフォームとなりうる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。