「SAP Vora」の新リリース、コンテナやKubernetesへの対応、HANA統合を強化

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2017-10-16 15:01

 「SAP Vora」は、「HANA」、「Hadoop」ベースのデータレイク、「Amazon S3」などのデータリポジトリに保存されているデータのディメンショナルなクエリを実現する「Apache Spark」ベースのフロントエンドツールだ。ユーザーは、Voraを利用してデータに対してディメンショナルなモデルを定義し、プッシュダウンアーキテクチャを活用して、データを動かしたり複製することなくデータソースをクエリできる。

 SAPは約2年前にVoraのプレビューを公開し、2016年3月に「HANA Vora」として一般提供(GA)を開始した。そして現地時間10月12日、SAPはVoraの最新版として「Vora 2.0」を発表した。

 Vora 2.0ではコンテナアーキテクチャを使い、実装とクラスタ管理にKubernetesプラットフォームを活用する。この特徴によりVora 2.0は、コンテナベースの実装が一層ダイナミックで設定変更が容易なものとなり、よりクラウドレディで、ハイブリッドクラウド向けとしても魅力的なツールとなっている。

 Vora 2.0は「Spark2.x」と互換性があり、その新機能を活用できる。SAP HANAとの密な統合を実現し、今後はMicrosoftの「Azure Data Lake」にも対応する計画だ。

 SAPでグローバルバイスプレジデントとしてクラウドプラットフォームとデータ管理、プロダクトマーケティングのトップを務めるKen Tsai氏は、SAPが9月に発表した「Data Hub」についても説明した。Data Hubは、データパイプラインを実行するエンジンとしてVoraを利用しており、HANAとの統合のための独自技術を備える。Data HubはVora 2.0の特徴を活用できる。また、SAPのデータマーケットプレイスプラットフォームである「SAP Data Network」もVoraを使って、Vora 2.0のメリットを享受できる。

 SAPはヒューストンを拠点とするCenterPoint Energyが、100社ほどの顧客の1社であると述べた。CenterPointは、Voraをスマートメータの分析に利用しているという。同社は、この機能を利用して、より優れた顧客サービスを実現できる。また、需要の予測にデータを利用することで、電力スポット市場を一層効率的に活用できる。

 Data Networkに関しては、Schindler Elevatorを顧客として挙げ、同社はエレベータからのセンサデータをERP、天気、プロジェクトデータと組み合わせ、そのデータセットを有料で利用できるようにしていると説明している。SAP Data Networkは、完全なマネージドクラウド環境を提供しており、自社のデータを収益化しようとしている企業向けの優れた分散プラットフォームとなりうる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウド基盤

    「情シス不足」が生み出す2大リスク--多忙な情シス部門が手放すべき業務とは?

  2. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  3. セキュリティ

    あなたの会社は大丈夫?--サイバー攻撃対策として必要な情報セキュリティの早分かりガイドブック

  4. ビジネスアプリケーション

    ITSM徹底解説!ビジネスに関わる全ての方へ--「ITSMクイックスタートガイド」

  5. セキュリティ

    いまさら聞けないPPAPの問題点、「脱PPAP」を実現する3つの手法と注目の"第4のアプローチ"とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]