AI Ethicsは、将来に向けた基礎研究の段階という感じだが、現状のAIと呼ばれている技術を前提に考えると、相当先の話という印象も否定しがたい。
現在、急速に実用段階に入り、さまざまな成果を挙げつつある機械学習/ディープ・ラーニングといった技術はデータ解析の技術であり、常識や倫理といった概念を踏まえて理性的な判断を下す仕組みではない。価値観や倫理をどうコード化してAIシステムに組み込むのか、そうした「常識を組み込み、それに基づいた判断を下せるAIをどう作るのか、現状ではまだ答えが出ていない状況だ。
現在の機械学習/ディープ・ラーニングでは、データに基づいて学習した結果を活用することはできても、その学習の過程や推論の基準を明確に説明することはできず、いわばブラックボックスとして受け入れることを前提として成り立っている技術である。
そのことが将来的に、AIの下す判断を信頼できるのか、という根本的な問いにつながってくる、という認識はまさにその通りであろう。その問題解決に取り組む必要があるのは間違いないものの、少なくとも現時点で活用されている機械学習/ディープラーニングにそのまま説明性や透明性を付け加えることができるとは思えず、逆説的に、現状のAIがまだ初期段階にあることを再認識させられるものであった。
AIの発展のためのパートナーシップ。中核となっているのは、IBMがamazon、Microsoft、Google、DeepMind、Facebook、Appleの6社と確立したパートナーシップで、そこにさらにさまざまな企業/団体が協力する体制が作られている。ただし、日本からの参加はまだソニー1社にとどまっているという