シスコシステムズは10月18日、2018会計年度(2018年7月期)の事業戦略を発表した。2020年に向けたビジョン「All Connected. Anything Possible.」を表明し、事業戦略では「デジタル変革の加速」「次世代プラットフォームの構築」「日本市場に根差した事業展開」の3本柱を掲げる。
シスコシステムズ 代表執行役員社長の鈴木みゆき氏
同日会見した代表執行役員社長の鈴木みゆき氏は、まず2017年会計年度を振り返り、主に中小企業向けビジネスとサイバーセキュリティ、デジタル変革/IoT化において好実績を挙げたと述べた。
中小企業向けビジネスでは、「Cisco Start」ブランドで展開するネットワークなどのソリューション製品や、無線LAN関連の「Cisco Meraki」もNTT東日本を通じた販売が好調に推移。サイバーセキュリティでは、人材育成や研究開発への取り組みが広がり、デジタル変革/IoT化でも京都府とのスマートシティ関連プロジェクトが大きく進展したという。
2018会計年度の事業戦略は、前年度の実績を踏まえた取り組みを推進する。
「デジタル変革の加速」では、実用段階に入り始めたIoT関連プロジェクトの本格展開やセキュリティ人材の育成、同社のコラボレーションアプリケーションを中核とする働き方改革を顧客に提案する。「次世代プラットフォームの構築」では、5Gなど新たな通信技術をIoT/ビッグデータ活用によるデジタル変革の基盤に位置付け、これを担う通信やサービス事業者の支援を強化する。「日本市場に根差した事業展開」では、地域専門の営業体制を拡充するほか、パートナーとの共同ソリューションの開発・展開、同社がネットワーク分野のオフィシャルスポンサーを務める2020年の東京五輪に向けた日本独自のマーケティング施策を実施していく。
2018会計年度の事業戦略における柱
各分野における戦略の骨子と主な説明資料は、下記の通り。
デジタル変革の加速
スマートファクトリー向けにパートナーとの共同ソリューション10種を展開する。スマートシティでは京都府とのプロジェクトを拡大するほか、新規注力分野にスポーツやエンタテインメント市場を加え、イベント施設向けのソリューションを強化する。
次世代プラットフォームの構築
Cisco Digital Network Architecture(DNA)に基づくインテリジェントなITインフラおよびネットワークの運用管理を推進。ソフトウェア定義による運用の効率化、データ保護、予兆検知によるプロアクティブな障害対応などソリューションを展開する。また、運用の自動化をコンセプトとするオンプレミス/マルチクラウドの包括的な運用を支援。IoT運用プラットフォーム「Cisco Kinetic」をはじめとするデータ活用ソリューションや、サイバーセキュリティにおける高度なインテリジェンスサービスの提供も強化。通信サービス事業者向けに、5Gなどを前提するマルチスケールプラットフォームや運用管理の自動化、クラウドベースのアプリケーションサービスを提供する。
日本市場に根差した事業展開
顧客企業のビジネスのデジタル化を包括的に支援する「ビジネスクリティカルサービス」と、マルチクラウド化に向けた高効率のシステム運用を支援する「ハイバリューサービス」を新規に提供。パートナーエコシステムの拡充と、日本独自のマスコット「Cisco5(シスコ ファイブ)」などによる中小企業向けマーケティングを推進する。