シスコが狙うIoTの4つの課題と重点5業種に向けた戦略

渡邉利和 2017年09月22日 10時30分

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 シスコシステムズは9月21日、IoT戦略に関する説明会を開催し、同社が提供するIoT向けプラットフォームと、これを活用した「Starter Solution」について発表した。

Cisco
Cisco Systems Iotクラウド事業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー のJahangir Mohammed氏

 同社のIoT戦略では、2016年に買収したJasperの技術が中核になっている。まず登壇した米Cisco Systems バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー IoTクラウド事業担当のJahangir Mohammed氏は、Jasperの創立者兼最高経営責任者(CEO)だった関係で、現在はCiscoのIoTクラウド事業を統括する立場にある。

 同氏はAmazonやBaidu、UberなどをIoTの成功例として挙げながら、「データから価値を引き出すことに成功した企業がビジネスでも成果を得ている」とし、アプリケーションがデータを価値に換えることから、IoTではデバイスからデータを抜き出し、アプリケーションまで移動させることが最初の問題となることを指摘した。

 さらに同氏は、IoTの課題として「デバイスの多様化で接続、セキュリティ、運用管理が複雑化」「多くのデータがモノの中に閉じ込められたままになっている」「適切なデータを適切なタイミングで適切なアプリに移動させるプログラム化された手段が存在しない」「データのプライバシー、セキュリティ、オーナーシップを管理して徹底できるソフトウェアがない」という4点を挙げた。

 その上で、Ciscoのコンセプトである「Intent-Based Networking」と多層型IoTプラットフォーム“Cisco Jasper”の組み合わせで構成される「IoT Network Fabric(IoTネットワーク・ファブリック)」が、最初の課題であるデバイスのネットワーク接続性と運用管理の問題を解決するとした。一方、データの取り扱いに関する残り3つの課題の解決にはIoT Network Fabricでは足りないため、このレイヤは「Iot Data Fabric」(IoTデータ・ファブリック)」である「Cisco Kinetic」で解決される、という全体像を明らかにした。

Cisco
Cisco Kineticはセンサ/センサゲートウェイからクラウドまで、さまざまなレイヤで稼働するソフトウェア群から成る分散型のシステムだ。図ではそれぞれのレイヤで実行される6種類の代表的な機能を示している

 同氏はまた、IoTネットワーク・ファブリックとIoTデータ・ファブリックの両方を統合的に提供できる点がCiscoの強みであるとした。

Cisco
Cisco Systems インダストリー プロダクトグループ ゼネラルマネージャーのBryan Tantzen氏

 続いて登壇したゼネラルマネージャー インダストリープロダクトグループのBryan Tantzen氏は特定業種向けに準備された「Cisco Kinetic 産業用Starter Solution」について説明。Kineticの注力分野として、「Cisco Kinetic for 都市(スマートシティ)」「同 製造業」「同 石油&ガス」「同 運輸」「同 流通」の5業種にまずはフォーカスし、うち都市と製造業向けに7つの「Starter Solution」を提供することを明らかにした。

 Starter Solutionは、名前の通りKineticを活用したソリューションの実装に取り組む企業や組織が最初に着手するパッケージ型ソリューションとして用意されたもので、導入から2週間で目に見えるビジネス価値を実現することをコンセプトに、おおよそ5万ドル以下で提供される。Ciscoおよびパートナー企業のハードウェア/ソフトウェア/サービスを事前構成済みソリューションとしてパッケージ化している。概念実証などはもちろん、導入後の規模拡大にも対応しているため、「小さく始めて大きく育てる」ような用途にも向く。

スマートシティ(Kinetic
スマートシティ(Kinetic for 都市)向けのStarter Solutionsの例

 なお、日本国内では上記5業種のうち、まずは「都市」と「製造業」に注力する計画で、Kineticの国内リリースは年内を予定している。

Cisco
Cisco Kineticのソリューション・スタック

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