富士通と米Microsoftが人工知能(AI)分野での協業を発表した。そのポイントはどこにあるか。なぜ、共同会見を開かなかったのか。背景を探ってみた。
富士通のZinraiがMicrosoft Azureを通じて利用可能に
富士通とMicrosoftが12月22日、AI分野で協業することで合意したと発表した。「働き方改革」をテーマに、SaaS型サービス「Microsoft 365」と富士通のAI基盤「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」(以下、Zinrai)、IaaS/PaaS型サービス「Microsoft Azure」(以下、Azure)上で提供されるAI基盤サービスなどを組み合わせた新たなソリューションを共同で開発し、2018年4~6月期に国内でサービス提供を開始し、順次グローバルに展開していく計画だ。
発表内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは発表文に記されていた両社幹部のコメントを抜粋して紹介しておく。
「今回のMicrosoftとのAI分野での協業は、両社の関係を新たなフェーズに進化させ、Digital Co-creationの象徴的な成果となると確信している」(富士通の香川進吾 執行役員専務/CTO)
「Microsoftのプロダクティビティ製品群と富士通の強みである業種ソリューションの専門知識を組み合わせることで、お客様がコラボレーションとクリエイティビティを推進するためのより多様な手段を手にすることができる」(MicrosoftのJudson Althoff ワールドワイドコマーシャルビジネス エグゼクティブバイスプジデント)
さて、今回の両社協業のポイントはどこにあるのか。最大のポイントは、富士通のZinraiがMicrosoftのAzureを通じて利用できるようになることだ。これにより、富士通はZinraiとMicrosoftのAI基盤やMicrosoft 365との連携を緊密に図っていくことができるとともに、グローバルなビジネス展開への大きな足がかりになる。一方、MicrosoftにとってはAzureの適用範囲が広がるとともに、日本でさらに働き方改革を推進するパワーになるはずだ。