Avayaは“新生Avaya”として、優れた顧客体験を提供する企業になる――。
10月1日に同社最高経営責任者(CEO)に就任したJim Chirico氏は、同月アラブ首長国連邦(UAE)で開催された「GITEX Technology Week 2017(GITEX)」で「(顧客の)カスタマージャーニーを包括的に支援できるソリューションを提供する企業になる」と力説した。
2017年1月に日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11章(チャプター11)を申請した同社だが、11月29日にはチャプター11再建計画案の第二修正版が裁判所に認可。12月15日にチャプター11から脱却している。
インタビューした10月時点では、裁判所による再建計画案の認可は確定ではなかったものの、Chirico氏は再建計画案に絶対的な自信を見せていた。「今後も、コンタクトセンター(CC)やユニファイドコミュニケーション(UC)の(顧客体験を向上させる)新技術開発には、積極的に投資を続けていく」と断言している。
実際、再建計画案承認後(チャプター11脱却後)には、3億ドルの優先担保付動産担保融資(ABL)を持つことが予想される。こうした資金を新技術開発のほか、営業やサービス力の強化、パートナーエコシステムの拡大に費やすという。

10月1日にCEOに就任したJim Chirico氏
新技術には“攻め”の投資を継続
積極的に投資する新技術としてChirico氏は、ブロックチェーンや人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)などを挙げる。すでにブロックチェーンについては英Avanza Solutionsと協業し、CCやUC上で収集したデータを安全にやり取りする仕組みを開発した。
また小売りの分野では、AvayaのUC/CCとiBeaconなどを連携する施策を進めている。具体的には、実店舗内でユーザーが商品に近付いたら情報を提供したり、パーソナライズされたプロモーションを実施したりする。こうした仕組みはすでに数多く行われているが、複数のチャネルを適所に判断してアプローチできるのが強みだという。

小売りなどの実店舗でもCC/UCで培った技術は活用できるという
Chirico氏は新技術の積極的な投資について、「市場変化のスピードに先読みして対応するため」だと説明する。
「モバイルデバイスの台頭を考えてほしい。今、多くの企業はモバイルアプリを通じて自社の顧客とつながっている。そこで必要になるのは、モバイルアプリをいち早く開発、展開できるプラットフォームだ。数年前まではモバイルデバイスが企業と顧客の強力なタッチポイントになるとは考えられていなかった。われわれのアプリ開発プラットフォームである『Avaya Breeze』では、さまざまなカスタマイズアプリを開発できる。こうした環境が、Avayaのプラットフォームを核としたエコシステムの強化・拡大につながる」(Chirico氏)
“新Avaya”で重要になるのが、パートナー企業やサードパーティとの協業体制だとChirico氏は説明する。UC上で利用するチャットやSMS(Short Messaging Service)、ソーシャルメディアなどを顧客の環境にあわせて迅速に提供するためには、パートナーとの協業が不可欠だ。
例えば、日本においてはLINEと提携し、LINEの法人向けカスタマーサポートサービスの「LINE Customer Connect」を同社のコンタクトセンターソリューションとして提供している。