#2:戦略的な計画を立案する
米TechRepublicが2017年にCIOを対象に実施した調査では、回答者の多くがデジタル変革の取り組みに関わっているとしているにもかかわらず、半数以上が公式なデジタル変革戦略を立案していないと答えている。
CIOは、文書のデジタル化にとどまらず、業務の迅速化と効率化を実現するためのデジタル化および自動化の方法を見据えた全社的なデジタル変革の立案に向けたタスクを主導することで、プロジェクトを支援できる。こういった計画には、実装予定のデジタル技術や、実装の日程、具体的な投資レベル、もたらされるビジネス価値が盛り込まれていなければならない。また、計画の期間は3~5年にわたるものとし、最高責任者レベルの幹部や、業務における重要なインフルエンサー、上級ITスタッフからの意見を取り入れ、少なくとも1年に1度はレビューを実施し、改訂していくべきだ。
さらに、まずどのプロジェクトに着手するのかという理解を全員が共有できるよう、プロジェクトの優先順位を定義し、同意を得ておく必要がある。あまりに多くのプロジェクトを同時に進めると、互いの利害が衝突し始めるようになる。また、リソースの競合が発生し、最終的に失敗に終わるのだ。CIOは、こうした無秩序な事態に陥るのを防ぐうえで重要な役割を果たすことができる。
#3:戦略的計画にデジタル変革プロジェクトを調和させる
すべてのデジタル変革プロジェクトは、どの部門が推進するかにかかわらず(とは言うものの理想はIT部門だ)、一極集中化しておくべきだ。プロジェクトを1カ所に集中することで、他のシステムとの整合性を持たない「ならず者プロジェクト」が他部門から生み出されるという事態を防げるようになる。すべてのデジタル変革プロジェクトを単一の企業計画の傘下に置いておけば、マネジメントと取締役会の全員はすべての計画と、それぞれのプロジェクトがビジネスの価値や計画の達成にどう結びついているのか知ることになるため、プロジェクトや投資との歩調を合わせられるようになる。
#4:リーダーシップを持つ人物の「思い入れ」を獲得する
全社をまたがる戦略的デジタル変革は、その計画を立案する場合であっても、鍵となる役員や組織をまたがるインフルエンサーらが真剣な思い入れを持っていなければ失敗するだろう。このため、鍵となるリーダーと直接話をし、サポートを要求し、思い入れを持ってもらうことで、コミットメントを獲得できるはずだ。これによりデジタル技術で業務運用を変革するうえでの力強い助けとともに、リソースや予算も得られるはずだ。こういったコミットメントを得られているという確証が得られないのであれば、プロジェクトを一旦停止し、彼らのもとに再度出向き、彼らの後ろ盾が得られていることを確認するようにしてほしい。