IT業界の主要企業のトップは、2018年をどうとらえているのか。各社の年頭所感を集めた。
日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也
日本の社会変革への貢献に向けて―お客さまのデジタルトランスフォーメーション推進を加速
日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏
2017年は、世界情勢が不確実性を極め、経済への影響も懸念される中で、企業や組織にはあらゆる角度で「変革=トランスフォーメーション」への期待がかつてなく高まった年でした。
当社にとっては、クラウドなどデジタルテクノロジをベースとした「お客さまのデジタルトランスフォーメーションの推進」を全社で最重要テーマとして展開し、多くのお客さまから評価いただき、大きく成長できた年となりました。社内の指標となりますが、クラウド中心の売上構成に大きく体質改善を果たし、ライセンス販売からクラウド利用が半数を超える結果となりました。また、最短距離でお客さまのビジネス変革を成功に導くために、グローバルスケールの考え方を重視し、クラウドビジネスを本格展開するための組織体制に変更し、デジタルトランスフォーメーションの推進を一層進めています。
さらに、当社はグローバルで人工知能(AI)、複合現実(Mixed Reality:MR)など最先端のインテリジェントテクノロジへ投資をしています。テクノロジ大国でもある日本市場においても大きな関心が寄せられており、デジタルトランスフォーメーションを推進するに当たっても、クラウドを軸に、AIやMRを活用することで、これまでにないビジネス変革が展開できるよう取り組んでいるところです。
その一方で、昨年弊社がアジア地域で実施した「デジタルトランスフォーメーション」に関する調査では、その重要性を認識しているビジネスリーダーの割合は、アジア全体の80%と比較して日本は50%と、大きなギャップが判明しています。国際競争力の強化が喫緊の課題である日本企業にとって、一種危機的な状況ですが、換言すればそれだけ成長の余地があるとも言えます。2018年、マイクロソフトは、お客さまがCreativity:創造性を発揮し、Innovation:革新的な取り組みを行い、Productivity:生産性を向上できるよう、信頼されるパートナーとして、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて一層注力していきます。
2018年は特に以下2つのテーマで、デジタルトランスフォーメーションの推進に注力し、AIやMRなど最先端のインテリジェントテクノロジを取り入れることで、飛躍的な発展を目指します。
働き方改革NEXT
引き続き日本政府の方針と連動し、働き方改革へ一層注力します。これまで注力してきたテレワークの推進などに代表される場所や時間の制約を取り払う「いつでもどこでも業務を遂行できる環境」の整備に加えて、2018年は、NEXT(次のステージへの進展)として、「個人や組織が持つポテンシャルを最大限発揮できる環境作り」を目指します。「仕事」と「プライベート」を場面に応じて選択するという「ワークライフチョイス」の考え方の浸透、クラウドを基盤にAIやMRなどを有効活用した働き方改革を推進します。これにより、さらなる業務効率や生産性の向上など仕事の「質」を高め、イノベーションの創出や企業の成長に貢献していきます。さらに、これまで大企業のオフィスワーカー中心だった働き方改革に加えて、工場、作業場、病院、販売店舗など最前線の現場で働く従業員向けの働き方改革、中堅・中小企業の働き方改革への取り組みを拡大していきます。
インダストリーイノベーション
業種・業態に合わせたデジタルトランスフォーメーションの推進に向けた提案・支援を加速させます。製造、流通・サービス、金融、政府・自治体、教育、医療・製薬などの業種に焦点を当て、クラウドプラットフォームの提供にとどまらず、IoT、AI、MRなどインテリジェントテクノロジを活用し、各業種・業界に最適なソリューションをお客さまやパートナー各社と連携して開発し、最適なビジネス変革を推進します。
当社の企業ミッションである「地球上の全ての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする」に基づき、日本における目指す企業像として「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する」を定めています。2018年、この企業像に少しでも近づくべく、日本の社会変革の一助となるような取り組みをお客さま、パートナーさまと進めていく所存です。
2018年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年まで残り2年となります。日本社会全体にとって、また当社のお客さま自身にとっても「変革」がさらに求められる時期だと考えます。2020年に向けて、「日本が輝ける」ように、マイクロソフトは全社一丸で取り組んでいく所存です。