中国ビジネス四方山話

シェアサイクルで柔軟さが試される日本の地方行政

山谷剛史 2018年01月04日 11時01分

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 シェアサイクルが日本で本格普及に向けて動き出す。ドコモが赤いシェアサイクル事業を東京などで行っているほか、セブンイレブンとソフトバンクグループのOpenStreetがシェアサイクルに参入した。行政レベルでも千葉市がシェアサイクル実証実験をはじめる。シェアサイクル火付け役の中国のモバイクやofoも日本に進出し、モバイクはLINEと提携し、札幌に続いて福岡でもサービスを開始した。

 日本では決まった駐輪スポットから乗り、決まった駐輪スポットまで走って駐輪させる。スタートとゴールの場所が同じならば、レンタサイクルと変わらない。レンタサイクルと比べてしまうと、値段は安いが、レンタサイクルと違って車体の掃除やメンテナンスの頻度は減るというデメリットが見えてくる。サービスを開始したからには、今後どんどん増えてシェアサイクルのメリットが享受できるようになってほしいと思っている。

 日本のモバイクに関しては、ドコモのシェアサイクルにも携わったモバイクの木下氏が陣頭指揮をとる。木下氏やモバイク日本のスタッフが経験を積むことで、今後さまざまな自治体への説明や説得が、より分かりやすくなり、日本の各自治体も「他所がやってて問題が出てないならうちも」とばかりに意欲を出していくから、シェアサイクル事業者の人的リソースのある限り導入は加速していくだろう。

 モバイクやofoの日本仕様への投入は車両生産台数的には全く問題ない。日本でシェアサイクルが普及するか否か、今後の普及のカギとなるのは、日本の各地域において行政や企業が協力的かどうかにかかってくる。行政が拒まないこと、それと企業が専用駐輪ポートを提供すること(中国のようにどこでも乗り捨ては難しい)にかかってくるわけだ。

 日本における自転車の問題でまず思い浮かぶのは放置自転車問題だ。放置自転車はメジャーな問題だから、各地域の行政側にも担当者はいて、問題解決に日々動いている。そうした状況の中で、さらにシェアサイクルが投入されるともなれば、放置自転車は増えるという問題は予想できる。シェアサイクルが投入されることで、長期的には自転車の台数が減る効果が期待できるが、直近の車両数の増加に拒む行政担当者も出てこよう。

 またいくら世界的シェアサイクル企業のモバイクやofoでも、中国企業ということでアレルギーを感じる行政担当者もいるだろう。また中国で定番のサービスであることから、中国人観光客のインバウンドのひとつのツールである一方で、中国人観光客の自転車走行によるマナーの問題も心配される。ちなみにモバイクが福岡で当初重点的に展開する地域を福岡市西部の湾岸地域「百道(ももち)」地区にした理由も、インバウンドの効果があると見込んでいるためだ。なんでも中国からのクルーズ船からの中国人観光客はまずバスで百道に送られるとか。

 モバイク日本は、行政が中国で人気のシェアサイクルに前向きにならない不安を徹底的になくしていく。まず回収と再配置専用の社員を雇い、日夜問わずトラックで市内をまわり、放置自転車や駐輪スポットから外れた車両に対応する。木下氏は「日本ではこれが徹底することが絶対条件だと思うので、金は惜しまない」と言う。またシームレスに利用する中国の利用者向けに、日本での利用の際は道路交通法上の駐輪ルールなどを説明するポップアップを表示し、中国の利用者に説明を行っていく。

 シェアサイクル事業者が事前に出てくるクレームを予測して対処法があるにもかかわらず、普及が遅れるならば、それはシェアサイクル事業者側だけの問題ではなく、「変えたくない」という役所の岩盤規制にも大いに問題がある。LINEとモバイクの提携を発表後、各地の行政からも引き合いがあるとか。シェアサイクルの来年以降の日本での普及は、シェアサイクル事業者の努力に加え、行政側の柔軟な対応が試される。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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