サイバー空間は正に戦争状態--マイクロソフト河野CSO - (page 2)

阿久津良和

2018-02-13 07:30

「プラットフォーム・インテリジェンス・パートナー」の3本柱を立てるMS

 「デジタルトランスフォーメーションを支える、クラウド&セキュリティ」と題した講演には、日本マイクロソフト 技術統括室 チーフセキュリティ オフィサーを務める河野省二氏が登壇した。

 サイバー攻撃の現状としてグローバルの統計数値を用いて、「毎日新たなマルウェアが20万以上も作成され、2016年におけるランサムウェアの数は前年度比6000%。40秒に1社がランサムウェアの標的になる。われわれは10億人のユーザーに200を超えるクラウドサービスを提供し、毎月4500億件のユーザー認証や、毎月18億以上のウェブページをスキャンしてきた。パートナーやJPCERT/CCやIPAなど脆弱性情報を持つ機関や法的機関と連携し、セキュリティ情報の活用方法をユーザーにフィードバックしている」(河野氏)と、セキュリティ対策に注力する自社の姿勢をアピールした。


日本マイクロソフト 技術統括室 チーフセキュリティ オフィサー 河野省二氏

 同社はAIと機械学習を活用して次のサイバー攻撃を予測・対策する「インテリジェント セキュリティグラフ」をセキュリティ対策の核としており、サイバー攻撃を受けた際の情報や、利用者に対するセキュリティ保護情報を収集し、数々のセキュリティソリューションを実現している。

 他方で同社はサイバー空間と実空間が融合した現状を鑑みて「デジタルジュネーブ条約」に関する活動も続けてきた。サイバー空間は社会全体で共有すべき場だが、国対国のテロリズム活動も活発化し、「サイバー空間は正に戦争状態になっている」(河野氏)。

 Microsoft CEO, Satya Nadella氏は技術的側面からサイバー攻撃の被害に遭わないための技術構築を行い、Microsoft President and CLO,Brad Smith氏は国と国の政策を通じて安全な環境を構築し、サイバー攻撃から利用者を保護する同条約の必要性を強調してきた。

 日本マイクロソフトでは、セキュリティ意識の向上を目的にパートナー企業と連携し、クラウドアプリケーションの可視性向上やデータの包括的制御を目的としたCloud App Securityを使った「シャドーIT可視化サービス」や、Office 365およびAzure Active Directory Premiumのログ情報を元に自社の生産性やセキュリティ状態を確認する「監査ログ調査サービス」といった事前影響評価をパートナーと共に、サイバーセキュリティ月間中は無償で提供している。「(サイバーセキュリティ月間のロゴマークには)知る・守る・続けるの文字が書かれているように、組織の現状を知る」(河野氏)のがセキュリティ対策の第一歩だ。

 他方で「『サイバーセキュリティ経営ガイドライン』などの啓蒙活動を行うと、顧客からは『どのように実践すべきかわからない』という声を頂く」(河野氏)という。その回答として、Office 365セキュリティ/コンプライアンスセンターのレポートダッシュボードのデモンストレーションを披露した。同ダッシュボードでは、被害が拡大するマルウェア情報を提示する「セキュリティの傾向」や2週間単位のメール送受信状況をグラフ表示し、迷惑メールやなりすましメール数を確認する「送受信メール」などのカードが並び、「急に送信メールが増えた場合、社内でマルウェアに感染して、自身が攻撃者になっているケースや、フィルタリングの見直しに活用できる」(河野氏)。その他にも「週単位の脅威の検出」も可能だ。

 前述したCloud App Securityのデモンストレーションでは、SharePoint OnlineやOneDrive for Business、DropboxやBoxなどのクラウドストレージサービス上で共有しているファイル情報を確認できる。インターネット上に公開しているファイルは「公開共有(インターネット)」、リンクを知っている社外ユーザーが参照可能なファイルは「公開共有」、Office 365の認証を必要とするファイルは「外部共有」として示され、「自社が利用しているサービスの全体像が把握できる」(河野氏)という。

 また、トラフィックログを利用して社内で使用中のクラウドアプリケーションの動的検出・分析を可能にするCloud Discoveryも披露。「サーバの場所やセキュリティ情報、コンプライアンス対策情報などを顧客が直接見られる『オンデマンドセルフサービス』だ」(河野氏)。

 社内にセキュリティ対策選任者が用意できない「ひとりCERT状態」の企業に対しては、Windows Defender Security Centerを紹介した。PC単位やユーザー単位、セキュリティリスクの種類に応じてイベントをタイムラインで確認するソリューションを推奨した。デモンストレーションでは、ドリルダウンすると、マルウェアに感染したPCが他のPCに感染を広げている一例を披露。

 また、Windows Defender Security Centerの一部であるSecurity Analytics Dashboardからは、マルウェア対策などのEDR(Endpoint Detection&Response)や更新プログラムの適用状況をグラフで示し、企業全体のセキュリティ状態を可視化できる。日本マイクロソフトは、「クラウドやWindows 10、Microsoft 365といった『プラットフォーム』を『インテリジェント』なセキュリティグラフで保護し、『パートナー』と共にセキュリティ対策を提供する」(河野氏)と自社の姿勢を強調した。

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