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セーフティー事業に賭けたNECの新野社長の覚悟

田中克己

2018-02-27 07:30

 「今、成長領域への投資を怠ったら、10年後のNECはない」。NECの新野隆社長は2018年1月下旬、国内で従業員約3000人の削減と9工場の統廃合に踏み切る理由をこう説明した。これまで取り組んできた業務改善を含めて捻出した費用を成長に転じる事業に振り向ける最後のチャンスということだろう。

 新野社長は2015年度決算説明会で、2018年度に売上高3兆円、営業利益1500億円などとする中期経営計画を発表し、「最低限の目標」と意気込んだ。それが達成不可能になったのは、「既存事業が想定以上に落ち込んだため」と新野社長は言い訳をする。既存事業とは、キャリア向けテレコム事業だ。確かに2015年度に売上高6890億円、営業利益458億円あった同事業は、2017年度に約5700億円、約130億円と売り上げで1000億円以上、利益で300億円以上も減る。基地局などインフラ系を得意とするNECにとって、4Gから5Gへの端境期になったことに加えて、市場が縮小する中で HuaweiやEricssonなど海外ベンダーとの価格競争が激化した。しかも、キャリアの投資先が配信サービスや決済サービスなどへとシフトしたことに対応できなかった。

 簡単に言えば、通信業界の変革スピードに追いつけなかったのだ。ユーザーがキャリアと組んだ新しいITサービスも生まれている。両者の真ん中に位置するネットワークSIerは、中抜きされてしまう危険性もある。その一例が、コマツが2017年10月に立ち上げた建設業界向けIoTプラットフォームを展開するランドログだ。

 実は、コマツの野路國夫会長は2013年にNEC取締役に就いているのに、ランドログ設立話をNECに相談したのだろうか。人工知能(AI)やIoTなどを駆使するデジタル改革の課題があったのかもしれない。

問われる経営者の実行力、決断力

 目標達成は、経営者の実行力、決断力も大きく影響する。実は、NECは成長軌道に回帰させるため、海外を中心とし3事業に注力する方針だった。注力3事業とは、セーフティー事業とグローバルキャリア向けネットワーク事業、リテール向けITサービス事業だ。ところが、どれも立ち上がりが遅れた。これらへの人材シフトがうまくいかなかったという。国内で実績があるソリューションのグローバル展開も進展させられなかったという。その結果、国内で新たに約3000人の人員削減と国内9工場の統廃合などに追い込まれた。

 だが、人件費と経費の削減によって、約430億円の費用を捻出できる。2016年度にスタートした業務改革推進プロジェクトの「改善目標は概ね順調に進捗している」とし、成長領域へ投資に確保できたとする。投資先はテレコム事業でも、伸び悩むSI事業でもない。これまで成長領域に掲げたリテールITサービスやグローバルキャリア向けネットワークでもない。新野社長が賭けたのはグローバルのセーフティー事業だ。顔や指紋など生体認証技術を駆使した安心・安全な街づくりなどの社会基盤である。海外SE不足を補うため、この1月にイギリスのノースゲート・パブリックサービスを買収した。

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