米デルテクノロジーズや中国レノボなど外資系PCベンダーが、情報システム担当者1人以下のいわゆる“ひとり情シス”の中小企業にPCやサーバなどの売り込みを強化している。デルの具体策は、「こうしたら、どうか」と助言するコンシェルジュを、1社1社の情シス担当者に配置したこと。これらが功奏し、国内PC市場のシェアは昨年の15%から26%に増加したという。富士通やNECなど国産ベンダーの中小企業市場開拓が手薄なこともあるだろう。
想像以上に深刻化する中小企業のIT活用実態
デルは2017年11月から2018年1月にかけて、従業員100人から999人の同社ユーザー760社に、担当者数やIT予算、ハードやソフト、サービスなどIT利用状況、セキュリティ被害などについてアンケート調査した。その回答結果から、デル日本法人で広域営業統括本部長を務める清水博執行役員は「ひとり情シスが想像以上に深刻化している」とし、情シス担当者にデルの製品を提案したり、電話やメールで悩みに応えたりするコンシェルジュの重要性を説く。
IT利用実態調査によると、ひとり情シスの企業は31%にのぼる。うち担当者1人が14%、担当者を置かない企業も17%ある。ただし、IT人材の増強を計画する企業は10%程度だ。IT人材不足というより、人材の採用、育成できない経営状況にあるように思える。もちろん、増強したい経営者はいるが、役割に見合う給与などの処遇が課題になる。残念ながら、デルは給与について調べていない。
ただし、回答企業の4分の3が、経営者がIT投資に関与している。そのためか、「経営者に近い人材」をアサインする企業が少なくないという。例えば、業務プロセス改善などBPRを担った人材を据えて、経営とITの一体化を図る。なので、情シス担当者にITの専門知識を求めていないのかもしれない。コンシェルジュの存在意義が大きくともいえる。