山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

世界消費者権利デーで見えた中国人消費者の権利意識の向上

山谷剛史

2018-03-27 12:32

 3月15日は世界消費者権利デーであり、中国ではこの日は国営全国テレビ局の中国中央電視台(CCTB)が、消費者を代表しさまざまなサービスや製品を問題視する番組を放映することが話題となる。この番組の影響力は極めて強く、この番組を楽しみにする消費者もいる一方で、企業としては自分らの会社がターゲットにならないかと戦々恐々とする日なのだ。

 CCTVだけでない。IT系メディアやIT系の調査会社や組織は、IT系製品やサービスについて、問題のある製品やサービスを指摘している。ECの消費者相談センターにあたる「電子商務研究中心」は、ECやシェアサービスなどに関する消費者からの苦情をまとめた「2017年中国電子商務用戸体験与投訴監測報告」というレポートを、この消費者権利デーに合わせて発表した。

 このサイトではジャンルごとに苦情数とその対応率から「使っていいサイト」のランキングを作成している。例えば中国で最も知られているサイトの「天猫(Tmall)」や「淘宝網(Taobao)」について、主要ECサイトの中で最も「買ってはいけない」サイトにランキングさせていて、数値自体もランキングは正しく、ひいきはしてなさそうだが、一方でCCTVと比べて影響力が小さな調査結果でもあろう。

 まずは近年普及してきた越境ECから。ここで最も大きいのはニセモノの存在だ。中国消費者協会が2018年2月に発表した、2017年の11月11日のセール日「双十一」についてのレポートにおいて、販売されている輸入商品の53サンプルを調べたらところ、そのうちの16商品がニセモノであることが判明した。「豊趣海淘」「小紅書」「西集網」「達令」などの比較的知られる越境ECサイトで、主に化粧品やアパレルやベビー用品などのニセモノが販売されていたという。昨年4月には、靴工場で外国限定のブランドシューズのニセモノが作られ、かつ海外からあたかも中国に送られたかのように偽装したという情報がネットを駆け巡り、これが当時は話題になり、越境ECサービス全体への信頼問題にまで広がった。

 また「小紅書」については、同サイトの多くの利用者の個人情報が漏洩する事件があり、犯罪者による詐欺の電話や、なりすました消費者金融の利用などが発生した。逆に言えば他のサイトによる情報漏洩による被害は最近は聞かないので、個人情報は犯罪グループには流れていないということが予想できる。

 「86mall」という北米の商品を扱う越境ECサイトにおいては、「200元(約3400円)以上買えば送料は無料」と書いておきながら、200元以上の商品を買い物かごに入れても、なおも送料が400元以上(約6800円)かかるという虚偽広告が問題視された。また送料がこれだけかかるにも関わらず商品到着が15~30日かかることも問題視している。

 中国の「保税区」というシステムを活用した越境ECサイトを利用して購入すれば、越境ECでの商品購入はそれほど時間がかからないものの、海外から税関を通して配送すると、手続き上問題はないのだが、時間がかかり不満が出るとレポートで書かれている。また破損した際の弁償や返品が難しい点にも苦情が集中したという。

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