企業におけるロボット活用ニーズが高まっている。背景には、ロボットの活用は、企業における人手不足への対応に加えて、作業員の過酷環境や危険作業から解放されるなど、さまざまな可能性を持っているためだ。
しかし、ロボットの導入をするためには。ロボット単体だけでは作業の自動化などの目的は果たせず、企業はロボットの導入にあたってはさまざまなハードルがあり、自社だけではロボットシステムを構築するのは困難な場合が多い。
そこで、ニーズが高まっているのが、ロボットを使用したシステムの導入提案や設計、組立などを行う「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)」の存在だ。
ロボットSIerは、ロボットの導入を検討する企業の現場課題を分析し、最適なロボットシステムを構築するために、さまざまな機械装置や部品などから必要なものを選別して、動き方をプログラムし、センサや周辺設備と組み合わせた一連のシステムとして動作する最適なロボットシステムを構築する。政府もロボットSIerの普及推進と人材確保に向けて、取り組みを強化している。
経済産業省及び日本ロボット工業会は2018年3月20日、ロボットSIerを紹介する特設ページを開設した。
本特設ページでは、ロボットSIerに関するビデオやパンフレット、ロボットを導入した企業へのインタビュー動画を作成している。
ロボットSIerのビデオでは、ロボットSIerが担う業務の解説のほか、実際にロボットSIerとして勤める方のインタビューを交えて、仕事の様子などを伝える紹介ビデオだ。
ロボットSIerへのインタビュー紹介パンフレットでは、ロボットSIerとして事業を行っている企業10社にインタビューを行い、各社の職場の雰囲気や仕事のやりがいのほか、若手人材に対するメッセージなどを紹介している。
ロボットを導入した企業へのインタビュー動画 では、自社の生産現場に実際にロボットを導入した企業の方に、ロボット導入による効果や感じたことなどについてインタビューを紹介している。
企業のロボットSIerへのニーズが高まっている一方で、ロボットSIに対応した人材確保も大きな課題となっている。
経済産業省 関東経済産業局は2018年1月に、「関東経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業」において、「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)業界の人材確保に関する調査報告書」を公表した。
本報告書では、ロボットSI業務を行う各中小企業等の事業概要や人事課題から、アンケート調査をもとに、ロボットSIerの人材確保に関する課題をまとめている。以下、分析結果の概要を紹介する。
製造業全体として工場ラインに従事する人材が不足しており、それを補うための自動化・ロボット化の要請が高まっている。そのためロボットSIer業界全体のビジネスは活況で、大手・中小問わず引き合いは増加傾向にあるという。
出所:経済産業省 関東経済産業局 ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)業界の人材確保に関する調査報告書 2018.1