ファシリテーターを務めたMASHING UPオーガナイザーである中村寛子氏は「メルカリが趣味でなく、仕事の1つという捉え方ができることに驚いた。今年から、年に1回、1カ月間は海外に行き、どこでも仕事ができることを実践したい」と述べた。
MASHING UPオーガナイザーである中村寛子氏
日本マイクロソフトが取り組んでいる「ウーマンテレワーク体験プログラム」についても、実践事例として、報告が行われた。
「ウーマンテレワーク体験プログラム」は、地域の支援団体や自治体と連携して、テレワークスキルを身に着け、就労の選択肢を広げたい女性や、テレワーカーという新たな雇用形態を検証したい企業を対象に、テレワークのスキルの習得や体験のための場を用意。働く意思がありながらも何らかの事情で職に就けていない女性に対して、就労の選択肢拡大を支援するとともに、企業の新たな人材獲得の機会創出を支援するものだ。
千葉県流山市で、2018年3月からスタートしており、佐賀県佐賀市、群馬県みなかみ町、愛知県岡崎市でも実施している。
日本マイクロソフト 政策渉外・法務本部 地方創生担当部長の宮崎翔太氏は「ウーマンテレワーク体験プログラムは、場所に縛られない働き方、学び方を模索するもの」と説明する。女性のテレワーカーとしてのキャリア構築とともに、企業におけるテレワーカーを活用する環境を支援するものであり、自治体にも協力を得ている。就労時間ではなく、アウトプットを重視する働き方を検証することになるという。ITだけでなく、マインドセットやキャリアなどの学び直しも行っていくのが狙いであり、日本マイクロソフトはテクノロジの観点から支援。社内の10を超える組織が参加しているとした。
日本マイクロソフト 政策渉外・法務本部 地方創生担当部長の宮崎翔太氏
流山市の市長、井崎義治氏は「流山市は、千葉県において、過去5年間に渡り、人口増加率が1位となっている。約10年前から、『母になるなら流山市』というキャンペーンを行ってきた成果でもある」とアピール。出産や子育て環境の充実だけでなく、今後は、出産や子育てをしながら働ける環境を作らなくてはならない。そこでは新たなことをやらないことのリスクを考えていくべきだとする。流山市は、ベッドタウンであり、雇用が少ない街であるが、主体的に新たなビジネスを行う企業を支援する一方で、テレワークで勤務する人の数を、さらに1桁、2桁と増やしていきたいと述べた。
流山市の井崎義治市長
ウーマンテレワーク体験プログラムに参加し、ダンクソフトにインターン入社した入谷真紀氏は「退職後は育児に専念していたが、子供に手がかからなくなったら仕事をしたいと思っていた」と振り返る。だが、流山市では自分のスキルを生かした仕事ができず、都内まで通わなくてはならなかった。だが、子供が夢を持ち始め、それをサポートするには、都内まで往復2時間をかけて通勤するのは難しい。子供のことを一番に考えると、働くことをあきらめなくてはならないと思っていたという。だが、今回のプログラムに参加して「これならば、子供の夢を支援することと、働くことが両立できる」と感じた。ただ、テレワークをしている会社が少ないことも感じている。私たちが、テレワークのスキルを学ぶ一方で、テレワークを実施する会社が増えることに期待したいと述べた。
ウーマンテレワーク体験プログラムに参加した入谷真紀氏
また、ウーマンテレワーク体験プログラムを流山市で実施しているTristのオーナーである尾崎えり子氏は、「これまでに7社27人がテレワーカーとして雇用された実績がある。今回のプログラムでは、マインドセット、テレワークスキルの習得、専門家講座、テレワークインターンの4つのステップを通じて提供することになる。また、女性だけでなく、企業側にも学んでもらう講座を実施している」と説明した。
新閃力代表取締役社長兼Tristオーナーの尾崎えり子氏
同プログラムを通じて、テレワーク人材を雇用しているダンクソフトの星野晃一朗代表取締役は、「Skypeで採用面接を行ったり、テレワークによる仕事をお願いしており、半年間に渡って勤務している社員のなかには、Skypeで話をしたことがあっても、直接会ったことがない人がいる。徳島県には、6人の子供を育てながらテレワークで勤務している社員もいる。優秀な人材を採用する上で、全国を対象にできるのがテレワークである。地方の企業こそが、テレワークを活用する効果があるだろう。デジタルの世界では先に新たなものに取り組んだ方がメリットが生まれる」とコメントした。
ダンクソフト 代表取締役の星野晃一朗氏