IoTセキュリティに力を入れ始めたトレンドマイクロは初めて出展する。同社のようなセキュリティ企業は増えており、ルビコン・ラボなどがIoTセキュリティ・プラットフォームを紹介した。このほか日本企業では、計測機のアンリツが出展していた程度。
主な講演テーマは、インダストリIoTやスマートホーム、スマートシティ、セキュリティ、エッジ・コンピューティング、スマートビルディング&コンストラクション、AI、ヘルスケア、エネルギー&ユーティリティ、交通などで、セッション数は150超にのぼる。
基調講演は、ボーイングでIoTプロダクトシステムを担当するバイスプレジデントのRuss Benson氏が航空機の保守ライフサイクルにおけるIoT活用や最適なデータ分析などを語った。配送サービス大手UPSでチーフ・インフォメーション&エンジニアリング・オフィサを務めるJuan Perez氏は、同社におけるIoTを活用した効率性やサービス向上、意思決定などを変革し、変化する市場への対応を図ってきたという。
加えて、2015年12月に米運輸省が発表したスマートシティにおけるデータやアプリ、テクノロジを使ったスマートな交通システムの進展について、サンフランシスコやポートランドなどの市担当者らによるパネルディスカッションがあった。サンフランシスコ市におけるIoT活用や、ニューヨーク市のスマートシティの未来、モビリティの未来、さらにブロックチェーン技術の可能性も議論する。オーランドにおけるデータ分析システム活用事例もあった。
パネルディスカション
インダストリーIoTでは、産業デジタル革命やIndustrie 4.0、デジタル農業、デジタル製造の成功、新技術がサプライチェーンに与える影響などが議論された。エネルギーとユーティリティの議論は、この分野におけるIoTイニシアティブ、エネルギーと公共施設の近代化、スマートグリッドのセキュリティ確保、予測保守などだ。スマートコンストラクションでも、IoTを使用しての建設プロセスの効率化、ドローンやARの活用などが紹介された。スマートホームでは、AIスピーカーや音声の活用、Eコマースに影響する宅配、消費行動の変化など新たな価値についても議論した。
自動走行についての議論もあった。自動運転セキュリティの構築やAI活用の倫理、スマートシティにおける自動運転、5月25日にEU(欧州連合)が施行するGDPR(一般データ保護法)のグローバルへの影響などについてだ。なお、次回は2019年5月13日から16日まで、今年と同じサンタクララ・コンベンションセンターで開催される予定。
- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。