Box Japanは東京・丸の内の本社オフィスを拡張し、このほどその様子を報道関係者に公開した。 同社は、2013年に東京にオフィスを開設。現在100人の従業員が在籍し、今後200人体制に向けて増員する予定だという。この8月に日本でのオフィス設置から5年の節目を迎え、日本ではグローバル以上の成長を遂げていることから、今後売上高の倍増以上を目指すとしている。
Box Japanの東京オフィスの入口
Box共同創業者兼最高財務責任者のDylan Smith氏
米Box 共同創業者兼最高財務責任者(CFO)のDylan Smith氏は、「Boxはいまから14年前に創業し、デジタル変革の課題を解決し、新たなビジネスプロセスを、クラウドのコンテンツ管理を通じて実現していく企業」と説明。また、「サイバーセキュリティやコンプライアンスへの対応にも力を注いでいる。Boxは全てのコンテンツに対応する単一のプラットフォームであり、現在8つの製品を提供している。さらにBoxアプリに加えて、1400を超えるパートナーのアプリと連携できる」と紹介した。
事業状況については、「Boxはクラウドコンテンツマネジメントのリーダーであり、8万5000社のユーザーがいる。Fortune 500の69%がBoxを利用し、解約率は5%未満であり、安定したビジネスを提供して現在5億ドルの売上高を達成している」という。2021年度に売上高10億ドルを目標とし、それに向けてグローバルで事業を拡大している。「その点でも日本は重要な市場になっている。さらに新たなサービスを提供していくことになる。オフィスの拡張によって日本における事業拡大にコミットしたい」とした。
Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏
Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏は、「全てがデジタル化する中で、Boxは5段階でセキュリティを提供していることや管理者向けに最適なサービスを提供していること、エコシステムによりさまざまなサービスを提供できるといった強みがあり、デシタル化の進展での新たな働き方に適している。日本では伊藤忠テクノソリューションズや三井情報、マクニカネットワークス、NTTコミュニケーションズ、日本IBM、富士通といった1次パートナーに加え、NECや日立、大塚商会といった2次店が190社ある」と国内の事業を紹介している。
今後は、業界リーダーへの導入を促進していくほか、開発パートナーとの協業による業界別ソリューションを開発し、販売パートナーとリーチを増やしていく。また、データを東京と大阪の2カ所に配置できるため、金融や自治体、病院などの新市場を開拓していく。「導入事例を数多く紹介することで、日本企業の働き方改革とデジタルトランスフォーメーションを推進していくことになる」とした。
また執行役員 アライアンス・事業開発部長の安達徹也氏は、Boxが提案する働き方改革について、「Boxによって働く場所、働く時間帯に制約を設けないフレキシブルワークを実現できる。Boxを利用しているユーザーは、85%の企業が社外でもオフィスと同じように仕事ができると回答しており、Boxでは100%の社員がその環境を実現している」と、同社の様子も含めて説明した。
社員が子供と一緒に出社したり、気分転換のために別の場所で仕事をしたり、集中する場所で仕事をしたりといったことを行っているといい、社員の中には、テレワーク派とオフィス派がいるという。オフィスでは、生産性を高めたり、仕事の仲間と会話をする時間が増えたりと、アイデアをぶつけあうことができ、イノベーティブに提案にもつなげることができると、その効果を紹介する。
「Boxのオフィスはそうした仕事の仕方を目的に作ったものであり、働き方の多様性を支えるデジタルワークプレイスの実現とともに、仕事の質を高めるリアルワークプレイスを実現することを目指す」という。
井村屋グループ システム部長の岡田孝平氏
一方、国内における2つのユーザー事例も説明した。その1社の井村屋グループでシステム部 部長の岡田孝平氏は、「約1年前にBoxを導入し、現在は社内で530ユーザーが利用しており、安心で、安全な環境を実現した。井村屋グループの情報共有基盤として活用している」と述べた。同社ではBoxを単なるストレージサービスとして利用するに留まらず、当初は想定しなかった利用も行っており、情報システム部門が想定していなかった利用もあるという。
スマートフォンやタブレットから画像を共有し、工場ではBoxを利用した教育も行っている。温度センサの情報も共有し、製品の品質管理に活用。リコーの複合機と連動し、ペーパーレス化にもつなげている。今後は社内託児所の様子をBoxに保存し、保護者と共有するといった活用も行うことで、安心して同社で働ける環境を整備する。さらに、原価情報システムの出力先をBoxに集約したり、チャットボットや人工知能(AI)スピーカーを活用してBox内のファイルを検索できたりするようにしたいといい、今後もBoxを最大限に活用していくとした。
三菱地所 xTECH営業部 運営・ビジネス開発支援ユニット統括ユニットリーダーの島田映子氏
また三菱地所 xTECH営業部 運営・ビジネス開発支援ユニット統括ユニットリーダーの島田映子氏は、「2014年に一部の部署でBoxを導入した。容量を気にせずにファイルをアップできること、社外との情報のやりとりがスムーズにできるようになるというメリットがあった。2017年には全社導入したことで、他部署との連動が可能になり、2018年に本社を移転し、オフィスの環境を刷新し、いつでも、どこでも情報を見ることができるようになった」と、導入効果を紹介した。
Boxの活用によって紙の回覧といったことが減り、本格的なペーパーレスを実現。「Boxは人と人のコミュニケーションを促すツールであると実感した」などと述べている。