日本ヒューレット・パッカード(HPE)は8月31日、エンタープライズ向けストレージ製品「HPE 3PAR」の新機能を発表した。主なアップデート内容は、「『HPE InfoSight』の予測自動化機能を追加」と「DevOpsやアプリケーション自動化に対応するツールキットや開発ツールなどの拡充」の2点になる。
HPE InfoSightは、データ収集やデータ分析への独自アプローチとして開発されたクラウドベースの人工知能(AI)プラットフォームと、同社では説明している。元々はNimble Storageが自社製品のサポートのために開発/運用していたもので、HPEによるNimbleの買収に伴ってHPEの自律化インフラストラクチャのコンセプトを支えるプラットフォームの一部として組み込まれている。
3PARにおけるInfoSightの対応
InfoSightでは、製品の稼働情報を随時モニタリングし、AIと熟練技術者の協調体制によって分析することで、障害発生時の迅速な原因究明などはもちろん、障害発生を未然に防ぐ予防対応/予測分析なども実現される。3PARストレージでもInfoSightへの対応は段階的に実装されてきており、これまでに「クロススタック分析」や「グローバルな可視性」については対応済みだったが、今回は「予測分析サポート」に対応したことで、InfoSightの主要な機能全てが3PARでフルサポートされた。
またアプリケーションのサポートに関しては、従来のオンプレミス環境に加えてクラウド環境や両者を統合したハイブリッド環境での運用を想定し、クラウドネイティブアプリケーションやコンテナ環境の運用を容易にするための機能が拡充されている。例えば、運用管理の自動化のためのツールセットとしてDockerやMesosphere DC/OSとの統合に加え、新たにKubernetes/Red Hat OpenShiftとの連携が実現された。また、VMware vRealize Orchestrator向けの新プラグインの提供、DevOps環境での運用を想定した構成管理ツールの提供としてChef、Puppet、Ansibleや、RubyおよびPython用の開発キットが提供された。
日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部長の本田昌和氏
ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、2010年の3PAR買収以来、製品が同社のストレージ分野の中核になってきたことを改めて強調した上で、Nimble買収に伴う製品のすみ分けの方針について説明。「統合型かつ多機能でユーザーのニーズにきめ細かく合わせて行くような使い方ができる中核的なストレージ製品として3PAR、Nimbleはシンプルで素早く使える新しいストレージとしての位置付け」と語り、どちらも同社のストレージ戦略の中で重要な位置を占めるが、その役割は明確に異なっているとした。