NTTグループがグローバル事業の再編に乗り出すとの8月の発表について、当事者の1社であるNTTコミュニケーションズ(NTT Com)の庄司哲也社長が、先人の言葉を引用してコメントした。その内容が巧みで興味深かったので、ここで取り上げたい。
NTTがグローバル事業強化に向けてグループ再編へ
まずは、この動きのおさらいをしておこう。
NTTグループが8月7日に発表したのは、グローバル事業の強化に向けてグループ内の組織再編を実施するというものだ。
今秋までに、NTT持ち株会社傘下に新たにグローバル持ち株会社を設立し、その傘下に、NTT Com、NTTデータ、南アフリカのDimension Data、NTTセキュリティ、NTT Innovation Institute(NTTi3)の5社を移管するというものだ。グローバル持ち株会社(社名:NTT)の社長は、NTT持ち株会社の澤田純社長が兼任する。
これにより、NTT持ち株会社ではグローバル持ち株会社を通じてグローバルガバナンスを強化し、グローバル市場に精通した人材の知見や経験を迅速に同社のマネジメントに取り入れ、NTTグループ全体のグローバル市場における競争力強化と収益性の向上を目指す構えだ。
また、NTT Com、Dimension Data、NTTセキュリティ、NTTi3の4社については、2019年夏をめどに、海外と国内に分けて事業統合することを検討する。東証一部に上場しているNTTデータについては、現在の経営形態のままグループ各社との連携を図り、同社の経営の独立性やブランドを維持するとしている。
今回の再編で、NTTグループにおけるグローバル事業のガバナンスや戦略の策定・推進を担うことになったグローバル持ち株会社は、移管する5社を合わせて、従業員数が16万3000人、直近の売上高合計で4兆3000億円超と、現時点で国内最大のIT企業である富士通の規模を上回る計算になる。
こうした動きを受けて、筆者は8月9日掲載の本コラムで「NTTグループ再編で気になるクラウド事業の行方」と題し、クラウド事業におけるリスクについて指摘した。