Barklyの依頼に基づいてPonemon Instituteが実施した調査のレポート「2018 State of Endpoint Security Risk」(エンドポイントのセキュリティリスク、2018年の状況)によると、過去12カ月間にエンドポイントに対する攻撃によって侵入されたことがあると回答した企業が3分の2近くにのぼっており、その割合は前年比でおよそ20%増だという。
この種の攻撃は大きな損失をもたらす場合があり、平均損失額は712万ドル(約8億円)、1エンドポイントあたりにすると440ドル(約5万円)になるという。
中小企業によっては、サイバーセキュリティに投資できる金額が限られているため、大企業と同じ規模のソリューションやチームを用意できないところもある。その結果、中小企業の損失額は1エンドポイントあたり763ドル(約8万6000円)と、さらに大きくなるという。
全体でみると、エンドポイントに端を発する攻撃が成功した際の平均損失額は前年に比べて約42%増加している。
660人のITプロフェッショナルやサイバーセキュリティ関連のプロフェッショナルを対象とする同調査からは、ゼロデイ脆弱性とファイルレス型の攻撃が現代の企業にとって最大の脅威になっていることが分かる。
Ponemonは「成功した攻撃の76%は、未知の、そしてポリモーフィック型のマルウェアを利用したゼロデイ攻撃だ。これにより従来の攻撃テクニックを用いた場合と比べて攻撃成功率が4倍ほど高まっている」と述べている。
エンドポイントへの攻撃による損失
Ponemonは2017年に実施した調査で、同年に企業が受けた攻撃の29%がファイルレス型のマルウェアを使用したものであると推定し、2018年には35%に増加すると予測した。
2018年の調査に対する回答者は、自社に対する攻撃のうち37%がゼロデイ攻撃だと推定している。これは2017年の数値の48%増となっている。また攻撃のうち35%がファイルレス型のテクニックを使用していたという。
攻撃に占めるゼロデイ攻撃とファイルレス型攻撃の割合を2017年と2018年で比較
今回の調査によると、トリアージやテスト、実装上の要求といった理由で発生する、脆弱性を抱えたエンドポイントに対するパッチ適用の遅延は平均すると102日だという。
マルウェアコードのパターンをベースにした従来のソリューションでは捕捉できないファイルレス型マルウェアの攻撃により、企業は現代のセキュリティ問題への対応に腐心している。その結果、ウイルス対策ソリューションをより近代的なものへと切り替えた、あるいは向こう12カ月以内に切り替える計画だとする回答は70%にのぼっている。
なお、ITプロフェッショナルらは標準的なウイルス対策ソリューションに対する不満として、偽陽性と判定される割合の高さや、管理の複雑さ、不適切な保護を挙げている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。