ガートナー ジャパンは3月4日、モノのインターネット(IoT)の実装に関する最新の調査結果を発表した。IoTを実装している組織の13%が既に「デジタル・ツイン」を使用しており、さらに62%がデジタル・ツインの使用を確立している最中か、予定していることが分かった。
ガートナーは、デジタル・ツインの定義を、「資産の状態に対する理解、変化への対応、ビジネスオペレーションの改善、付加価値の提供を目的として、物理的な実体を表現するソフトウェア設計パターン」としている。
同調査は2018年7~8月に、6カ国(中国、ドイツ、インド、日本、英国、米国)の599人を対象にオンラインで実施された。調査対象組織は、年間売上額が5000万ドルを超え、2019年末までに少なくとも1件のユースケースでIoTの導入を計画している組織。
調査結果によると、回答企業の54%は、デジタル・ツインの大部分が1つの利用者層だけを対象にしているが、複数の利用者層を対象にすることもあったと答えている。また、およそ3分の1の企業は、大部分または全てのデジタル・ツインが複数の利用者層を対象にしていると回答している。例えばコネクテッドカーのデジタル・ツインの場合、メーカー、顧客サービスプロバイダー、保険会社といった、IoTデータのニーズがそれぞれ異なる利用者層による活用されているという。
ガートナーでは、機器ごとのデジタル・ツインとともに、あらゆる機器のIoTデータを集約して全体的な動作を分析する複合的なデジタル・ツインも必要になるとし、関連する資産や機器のデジタル・ツインを相互に組み合わせて展開する傾向が高まっていると指摘した。
調査結果からも、デジタル・ツインを実装している組織の61%は、既に少なくとも1組のデジタル・ツインを相互に統合していることも分かった。また、デジタル・ツインをまだ統合していない組織の74%が今後5年以内に統合を実施すると予想されるという。
ガートナーでは、デジタル・ツインを相互に統合する能力は今後さらに求められていくが、一方その実現には高い情報管理のスキルが必要で、将来の差別化要因になると予測している。