Google Cloudは、新しいマルチクラウド時代に向けて、ITをモダナイズしようとする企業の「最高の戦略的パートナー」になることを目指す。新たな最高経営責任者(CEO)Thomas Kurian氏は米国時間4月9日、サンフランシスコで開催されているカンファレンス「Google Cloud Next」の基調講演でそう語った。
今回のイベントは、2019年1月に前CEOのDiane Greene氏から経営を引き継いで以降、同氏が大がかりな発表を行う初めての機会になった。Kurian氏は、プレゼンテーションの場に何社もの新規エンタープライズ顧客を招き入れ、Google Cloudが顧客重視の取り組みをステップアップさせていることを明確に示した。
同氏は、Googleが目指すのは「もっとも簡単にビジネスを行えるクラウドプロバイダーになる」ことだと語った。
前任のGreene氏は、CEOを務めた3年の間に、Googleのエンタープライズ向け事業をGoogle Cloudブランドの下に統合した。今やGoogle Cloud Platform(GCP)は、Googleの親会社であるAlphabetの持つ事業全体の中でも、もっとも成長が速いものの1つだ。Googleは、2018年にGCPが獲得した100万ドル以上の契約が2倍以上になったことなどを例に挙げ、同事業が勢いを増していることを示していた。
とは言え、GCPの前には、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureという強大な敵が立ちはだかる。Googleの技術的な専門性は高く評価されているものの、エンタープライズ市場における経験が他社に比べ不足しているとみられていることが、同社の足を引っ張ってきた。Kurian氏は、競争力を引き上げるには、顧客に技術力を提供するとともに、顧客がビジネスをしやすくする必要があると語った。
このためGoogleは、市場開拓のための組織を拡大しており、営業チームだけでなく、技術のスペシャリストも増やしているという。Kurian氏は、価格体系の単純化、契約手続きの簡略化、「共同イノベーションのフレームワーク」の実現を約束した。また同社はパートナーの幅を広げ、パートナープログラムの強化策も数多く導入している。このカンファレンスでは、アプリケーション開発者向けの新しいツールや、マルチクラウドアプリケーション展開を可能にするツールも披露された。