今後の5年間に対するGartnerの予想は、人工知能(AI)によって人間の意思決定や感情、関係が強化されるという考え方が中心となっている。ここでの大きな疑問は、同社の予想が今後5年間で現実のものになるかどうかだ。
同社のアナリストであるDaryl Plummer氏は「Gartner IT Symposium/Xpo」で、AIから仮想通貨、オンラインショッピングまで、テクノロジーがいかに私たちの生活を変化させるのか、そしてそのことが人間にとって何を意味するのか、今後の展開について予想した。以下では、それらを良い予想と悪い予想に分けて紹介し、考察する。
良い予想
2025年までに--銀行口座を有していないがスマートフォンは持っているという人の半数が仮想通貨を利用するようになる。非現金決済プラットフォームの普及は重大な出来事であり、アフリカやアジアの経済に重要な役割を果たす可能性がある。
起こり得る可能性:拮抗(きっこう)。仮想通貨は成熟しきっておらず、規制の枠組みが作り上げられるかどうかもまだ不透明だ。
2023年までに--AIのほかに、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)といった新興テクノロジーの普及が進むことで、働く障がい者の数が3倍に増える。要するに新興テクノロジーによって、障がい者に門戸が開かれる仕事が増えていくというわけだ。
起こり得る可能性:確実。ただし、2023年までにというのは楽観的すぎるかもしれない。また、採用の慣習において克服すべき課題も存在している。
2023年までに--G7諸国のうち少なくとも4カ国でAIや機械学習(ML)を監督する自主的な規制団体が設立される。また、アルゴリズムの統制が必要不可欠となり、正常に機能しないアルゴリズムに対する何らかの保護策も必要となる。
起こり得る可能性:まず起こり得ない。欧州諸国がAIやML関連のポリシーをより幅広いテクノロジー規制に盛り込む可能性はもちろんあるものの、規制当局がアルゴリズムの管理方法を理解できるかさえ疑わしい。
2023年までに--世界中のニュース/ビデオコンテンツの30%がディープフェイクを防止する目的で、ブロックチェーンによる認証を採用するようになる。Gartnerは、組織や企業がブロックチェーンを武器にして偽情報と戦うようになると主張している。
起こり得る可能性:極めて低い。偽情報の対策に取り組むメディア企業などは、ブロックチェーンに投資する資金や、テクノロジーのノウハウが必要となる。メディア企業はいずれも持ち合わせていないだろう。
提供:Gartner