本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、富士通とNTTデータがそれぞれ提供する公共機関向けクラウドサービスを取り上げる。
富士通とNTTデータが公共機関向けクラウド事業に注力
富士通は先頃、これまで提供してきた同社のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」をベースに、中央省庁および関連機関向けの新たなクラウド(通称、ガバメントクラウド)のサービスを開発し、5月より販売を開始すると発表した。
新サービスは、従来、オンプレミスで構築されていた中央省庁および関連機関の情報システムに求められる安全性や柔軟な運用に対応し、機密性の高い情報を取り扱う情報システムをクラウド上に、より安心、安全に構築することを可能としている。
同社が長年培ってきた政府の情報システムの構築、運用などの豊富な実績をもとに、中央省庁が求めるオンプレミスシステムと同等の安全性、運用性を確保した新たなクラウドサービスを立ち上げ、政府向けクラウド事業に本格参入した形だ。
サービス内容は、システム要件に合わせて図1に示すように3つのクラウド環境を揃えており、単体もしくは各タイプのハイブリッド構成で提供する。サーバー共有型は各省庁や関連機関の間でサーバー、ストレージ、クラウド管理機能などのクラウド環境を共有。サーバー専有型は省庁ごとにサーバーとストレージを専有し、クラウド管理機能は共有。完全専有型はクラウド管理機能を含むクラウド環境を専有する。
富士通のガバメントクラウドの概要(出典:富士通)
一方、NTTデータも先頃、官庁や自治体など公共機関のデジタル化を推進するマルチクラウドソリューション「Digital Community Platform」の提供を開始したと発表した。
新サービスは、公共機関において求められる社会基盤に資する運用品質やセキュリティなどの要件を充足しつつ、デジタル技術を活用した最適なサービス提供を行うためのクラウド基盤のマネージドサービスである。
パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミス環境を適材適所に活用可能。NTTデータが金融機関向けに提供するクラウドサービス「OpenCanvas」のほか、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどのクラウドサービスの利用も可能だ。利用者は各クラウドの運用管理を意識することなく、複数のクラウドを使用できる。(図2)
NTTデータのDigital Community Platformの概要(出典:NTTデータ)