デルとEMCジャパンで構成されるデル・テクノロジーズは6月30日、同社ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)製品「Dell EMC VxRail」についてハードウェアの追加とソフトウェアの強化を発表した(2社は8月1日付けで統合予定)。
VxRailは、VMwareとの共同で設計された業界唯一のHCIシステムであり、「VMwareが提供するソリューションを最大限に活用する」とデルで執行役員インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部 本部長を務める上原宏氏は述べる。
導入後すぐの利用を可能にするターンキーエクスぺリエンス、ワンクリックでのさまざまなソフトウェアのアップグレードや高い保守性によるライフサイクル管理、フルスタック結合や高度な分析による強力な差別化を特徴としている。
新たに発表された「VxRail Dシリーズ」は、スペースに限りがあるリモート環境や過酷な設置環境で高い耐久性を発揮できるように設計されている。第2世代「Intel Xeon Scalable Processor」を搭載する同製品は、1Uフォームファクターで奥行がVxRailシリーズ最小の20インチ(50.8cm)。耐熱性は-15度から45度までで、8時間以内であれば55度まで許容。耐久重力40Gという耐衝撃性を備え、最大標高1万5000フィート(約4500m)でのオペレーションをサポートする。
VxRail Dシリーズ
リアルタイムのGPSマッピング処理が必要なシステム、遠隔地でのビデオ監視システム、十分な設備が整っていないデータセンター、船舶や航空機といったエッジ環境に加え、製造業やガス・石油といった技術面やスペース面で難しい環境にも対応できるという。
EMCジャパンMDC事業本部クラウドソリューション部でシニアマネージャーを務める市川基夫氏は、搭載されるCPUやメモリーといったハードウェアスペックが他のVxRailモデルと大きく違うということはなく、「VxRailが持つ機能や性能はフルに利用可能で、他のVxRailに比べて制約や制限があるということはない」と説明する。
「VxRail Eシリーズ」には、「AMD EPYC」プロセッサーをVxRailシリーズとして初搭載したモデル「VxRail E665」が加わった。第2世代EPYCを搭載し、1CPU構成で8から64コアのCPUオプションを提供。最大1TBのメモリーを搭載でき、ソリッドステートドライブ(SSD)の接続規格である「NVMe」に対応し、SSDだけで構成されるオールフラッシュストレージ、SSDとハードディスクドライブ(HDD)を混載するハイブリッドストレージのどちらにも対応している。
第2世代EPYCがシングルソケットでデュアルソケットパフォーマンスを実現可能なことから、仮想デスクトップ基盤(VDI)、非構造化データ分析、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)といった高いCPU処理が求められる用途に最適だという。
VxRailのグラフィックスオプションに「NVIDIA Quadro RTX 8000 GPU」が加わった。Quadro RTX 8000は48GBメモリーを搭載し、CPU処理を最大36%オフロード可能。複雑なグラフィックスレンダリングやビジュアルコンピューティングワークロード処理、人工知能(AI)や機械学習(ML)を扱うシステムに最適と市川氏は述べる。