日本オラクルとアシストは、UQコミュニケーションズが提供する「UQ WiMAX」の基地局建設業務システムのクラウド移行や障害復旧(DR)環境の構築に、「Oracle Cloud Infrastructure」が採用されたと発表した。
UQコミュニケーションズは3月から、Oracle Cloud Infrastructureと「Oracle Database Cloud」を活用したDR環境を東京リージョンに構築し、5月に運用を開始した。構築や移行には、オラクル製品の導入実績があるアシストの「Oracle Cloud環境構築支援サービス」を活用し、2カ月で導入や展開を実現したという。
DR環境の導入効果としては、これまで週1回手動で行っていたバックアップ作業を自動化することで、人的エラーが解消されるとともに運用効率が向上した。また、バックアップファイルでしかデータを参照できなかった状態から、直接クライアントがデータベースを参照できるようになるなど、システムの利便性も向上したという。さらに、「Oracle Cloud Infrastructure FastConnect」の専用線で接続した際のデータ転送料が無料となり、コストが大幅に削減されたとしている。
このDR環境構築プロジェクトは、本番環境の将来的なクラウド移行の検証やリハーサルも兼ねており、DR環境構築や移行の成功を基に、現在アシストの支援を得ながら大阪リージョンに基地局建設業務システムの本番環境を構築している。2020年年末から移行を開始する予定だという。
従来の基地局建設業務システムは、オンプレミスの「Oracle Database」とサーバーで運用していたが、ハードウェアのメンテナンスや障害対応などの負荷削減、運用コストの見直しを図るため、クラウドへの移行を検討していた。
また、災害対策のために他社のデータセンター内で遠隔地バックアップシステムを運用していたが、頻繁に発生する台風や洪水などの自然災害を想定し、システム内の必要なデータへ瞬時にアクセス可能なDR環境の構築も併せて検討していた。
UQコミュニケーションズは、本番環境の移行を前提とした上で複数のクラウドを検討した結果、Oracle Cloud Infrastructureの性能やコストメリットを評価したという。
また、セキュリティコンプラインスや閉域網の利用など、同社の基準や要件を満たすデータセンターを東京と大阪で展開していることや、バージョンアップに伴うコストを低減するなど、Linux環境移行の経済性なども採用の決め手となったとしている。さらに、今後活用を検討している「Oracle Autonomous Database」で提供されている、自動チューニング/パッチなどの自律機能や技術も評価したという。