今いる人材の生産性向上が得策--オンライン学習の効率化で何を考えるべきか

伊藤靖 (セールスフォース・ドットコム)

2020-12-11 07:15

 事業者のDXについて取り上げる本連載。第4回では、これまでのセールスフォース・ドットコムでの地域での営業活動を通して感じたことに加えて、コロナ禍での変化も踏まえた地域の事業者が今後成長していくために必要な考え方を解説します。

共通課題の人材不足--目指さざるを得ない生産性向上

 地域の事業者が共通して抱える課題の一つが、人材不足です。そもそも若い世代の人材が限られているため、人材採用に力を入れたとしても、採用できないことも少なくありません。そこで、今いる人材の生産性をいかに上げるかということに関心が高くなっています。

 その解決策の一つが人材教育です。特に新型コロナウイルス感染症の影響からリモートワークをするようになって、人材教育に関するこれまでとは異なる問題が発生するようになりました。今まではオフィスに集まって一緒に仕事をしていたので、若手社員は日常的に他の人の仕事の様子を見たり、話を聞いたりして、ノウハウを身につけることができていました。特に地域の事業者の場合は、大企業のように教育制度が整っておらず、現場で実務をさせながら教育していく、On the Job Traininng(OJT)を中心にしていることが多いのが実情です。

 管理者の立場から見ても、部下の様子を見て悩みや困りごとの有無を把握して、必要に応じて相談にのったりアドバイスしたりして、成長をうながすことができました。

 職場環境が変わり、体系的な教育ができないと、従業員の生産性が上がりません。そこで解決策として注目されているのがオンラインでの教育です。

オンライン教育の実践方法

 オンライン教育や学習は、大きくわけると3つのパターンに分けられます。1つは、集合型で、一人の講師に対して数十人単位の聴講者が集まって講義を受ける形式です。質問などは適宜受け付けられますが、基本的には一方向のやり取りになります。2つ目は、数人単位の少人数のグループで、双方向で議論しながら進めるもの、そして3つ目が自己学習で完結するものです。オンライン教育、学習ではこの3つのパターンを織り交ぜながら構成するとよいでしょう。

 集合型の場合、オフラインであれば講師が聴衆の反応や表情を見ながら進められますが、オンラインの場合はそれができません。カメラを全員がオンにするわけではありませんし、オンであってもわかりにくいからです。

 そこで、集合型はもちろん、少人数、自己学習のいずれの場合でも、小テスト付きチェックポイントの設置がオススメです。理解度が合格ラインに達したら、次のステップに進めるようにします。

 オンライン教育、学習の場合は講義の録画ができるので、理解度が達しない場合やわからないことがある場合、振り返って確認できます。また、自己学習であれば、時間や場所を問わずに進められます。テクノロジーの力を活用しながら、自分のペースで学習を進められることがメリットです。

 セールスフォースでは、自己学習の一つとして「Trailhead」を用意しています。1テーマごとに受講でき、それぞれのテーマごとに小テストが用意されていて、クリアするとバッジがもらえます。自分の学習データが蓄積されるようになっており、弱点を把握するのにも役立ちます。

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