プログラミング言語「JavaScript」は25年前に生み出され、現在ではウェブアプリケーションやブラウザーアプリケーションの開発で最も重要な役割を担う言語の1つと言われるまでに成長している。
JavaScriptはフロントエンド開発で最初に検討される言語であり、Microsoftのプログラミング言語「TypeScript」はJavaScriptから派生したものだ。TypeScriptは、オプショナルとして強力な型システムを備えたJavaScriptのスーパーセットであり、ブラウザー内ではコンパイル(トランスパイル)結果のJavaScriptコードとして実行される。
JavaScriptとTypeScriptはいずれも、ECMAScriptと「Node.js」に準拠している。ECMAScriptはJavaScriptの標準規格であり、Node.jsはGoogleのパワフルな「V8 JavaScript」エンジンを活用し、ブラウザーに頼らずにアプリケーションの実行を可能にするためのランタイムだ。
JavaScriptがウェブにもたらした影響は語っても語り切れないほどだ。この言語は多くの大手IT企業によって支持されている。また、関連のオープンソースプロジェクトもGoogleのV8だけでなく、Facebookの「React」やGoogleの「Angular」などが進められており、スマートフォンやデスクトップをまたがるウェブアプリケーションの普及を支援している。
JavaScriptは、NetscapeとSun Microsystems(James Gosling氏がJavaを1995年5月に発表した際に在籍していた会社だ)によって1995年12月に発表された。この発表を受け、当時「Visual Basic」を推進していたMicrosoftは「Internet Explorer」(IE)ブラウザー上でウェブアプリケーションを開発するための標準言語として「Microsoft Visual Basic Scripting Edition」(VBScript)を作り出した。なお、Oracleが2008年にSun Microsystemsを買収した主な理由は、Javaとその大規模な開発エコシステムを手に入れるためとされている。
JavaScriptの中核を設計したのはBrendan Eich氏だ。同氏は、「Firefox」の開発元であるMozillaの共同設立者であり、現在ではBrave Softwareの最高経営責任者(CEO)を務めている。Brave Softwareは、Googleの「Chromium」をベースにする数多くのブラウザーの1つである「Brave」の開発元だ。同氏はNetscapeに在籍していた1995年に、JavaScriptの前身である「Mocha」のUNIX版を作り出した。
Eich氏によると、もともとJavaScriptは「Javaを補助するためのスクリプティング言語」として考え出され、込み入ったプログラミングを必要とする処理は全てJavaアプレットで実行することを想定していたという。しかし、ウェブ開発者らはすぐに、必要なものはJavaScriptだけだと考えるようになったと同氏は語った。
JavaScriptは現在では世界で最も人気のあるプログラミング言語となっており、Microsoft傘下のコードコラボレーションサイト「GitHub」上でホストされているオープンソースプロジェクトで最も広く使用されている言語ともなっている。一方、Javaの人気は下降気味だ。
とは言うものの、JavaScriptの航海は常に順風満帆というわけではなかった。
開発者向けの訓練サイトであるPluralsightで主にJavaScript関連の教育を担当しているCory House氏は、JavaScriptが受け入れられるかどうか明らかではなかったと述べた。