海外コメンタリー

アマゾンを成功に導くリーダーシップのあり方--元幹部が読み解く"Working Backwards"

Vala Afshar (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-04-06 06:30

 Colin Bryar氏はAmazonに1998年、すなわちその創業から4年後に加わり、それからの12年間を同社のシニアリーダーシップチームの一員として働いた。同社はこの間に米国内向けの書籍販売業者から、世界的かつ多元的に事業を展開する、強大な力を持つイノベーターへと成長した。Bryar氏は同社在籍中の2年間、Jeff Bezos氏の「首席補佐官」を務め、「Jeffの影」とも呼ばれていた。その2年にわたってBryar氏は毎日、Bezos氏とともに会議に出席したり、出張したり、ビジネスや人生について語り合っていた。

 Bill Carr氏は1999年にAmazonに加わり、その後15年以上にわたって同社に在籍した。同氏はデジタルメディア担当バイスプレジデントとして「Amazon Music」や「Amazon Prime Video」「Amazon Studios」などの世界的なデジタル音楽事業やビデオ事業を立ち上げ、その管理を担当した。

Colin Bryar氏とBill Carr氏
「Working Backwards: Insights, Stories, and Secrets from Inside Amazon」の共著者であるColin Bryar氏とBill Carr氏

 両氏は現在、共同で設立したWorking Backwardsで、Amazonによって培われたマネジメントプラクティスの実践方法を新興企業と大企業双方の幹部に指南している。また両氏は「Working Backwards: Insight, Stories, and Secrets from Inside Amazon」(逆向きに行動する:Amazon社内の洞察とストーリー、秘密)の共著者でもある。この書籍は実践的なガイドブックであるとともに、「Amazonの人間として働く」とはどのようなことなのかや、それがいかに個人としての、そしてプロフェッショナルとしての人生に影響したのかについての回想が数多く盛り込まれた体験本となっている。また、そこではAmazonほどの企業規模における成功は1人の天才的なリーダーの手によって成し遂げられたわけではなく、明確に定義され、厳格なかたちで実行された一連の信条やプラクティスへのコミットメントと、その実践をもって実現された物事が示されている。本書には、今まで語られたことがなかった内容がつづられている。

 新たなアイデアを次々と実現しているAmazonの成功やリーダーシップの真髄についてより深く知るために、シリコンバレーに拠点を置くコンサルティング企業Constellation Researchの創業者であり、最高経営責任者(CEO)でもあるRay Wang氏と筆者は、われわれが週次で放送しているビデオポッドキャスト「DisrupTV」にBryar氏とCarr氏を招いた。以下は、両氏と交わした会話のなかで出てきたポイントだ。

リーダーシップの信条

 Amazonは、拡張可能性と反復可能性を備えた一連のプロセスを築き上げ、14項目からなるリーダーシップの信条と組み合わせた。これは、同社が新たなアイデアを次々と実現する上での原動力となった。そしてあらゆる企業も、その規模や業界にかかわらず、Amazonのこうした知見を自社に適用できる。同社のリーダーシップの信条は2005年に10項目からスタートし、現在では14項目にまで増えている。

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