カーボンニュートラル(脱炭素)

三菱重工と日本IBM、CO2流通を可視化するデジタル基盤を構築へ

NO BUDGET

2021-05-10 10:10

 三菱重工業(三菱重工)は日本IBMと共同で、二酸化炭素(CO2)を有価物として活用する新社会への転換を目指すデジタルプラットフォーム「CO2NNEX」(コネックス)を構築していくと発表した。

 CO2NNEXは、中立性と公平性を担保して高度なセキュリティを確保するブロックチェーン、スピーディーな構築や柔軟性を特徴とするクラウド、カーボンニュートラル(脱炭素社会)に向けた需給の最適化を行う人工知能(AI)などを活用したデジタルプラットフォーム。5月からは、デジタルプラットフォームの実証実験に向けた概念実証(PoC:Proof of Concept)を行い、具体的に検討を進めていく予定だ。

 CO2NNEXは、サイバー空間上におけるCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)バリューチェーンの可視化を実現する。CCUSは、CO2を回収して貯留や転換利用する仕組みを指す。現状、回収されたCO2の行き先は、廃棄コストを払って貯留されるか、または価値資源として取引されるかのいずれかとなっているが、将来的にCO2の資源化需要を高めるため、バリューチェーンにおける現状の課題を顕在化させるとともに、回収、輸送、貯留、分配、転換利用といった業務の流れ全体を最適化するための仕組みを作ることが重要とされている。

 CO2NNEXを導入し、CO2流通を整流化することで、回収後の総量、移送量、購買量、貯留量などといった別々のフェーズでしか見ていなかったCO2の流通全体をつないで可視化できる。また、その証跡を残すことで、投資やコストの観点で検証することも可能となる。さらに販売したいエミッターと購入したい需要家をマッチングさせ、工業や農業、燃料などの新用途に対する供給も実現できることからCO2活用の裾野が広がる。

 三菱重工は、今回の取り組みにおいて、実社会(フィジカル世界)におけるインフラ構築の検証を行っていく。排気ガスからのCO2回収技術と世界規模での実績に加え、これまでに培った知見を生かし、流通の要所にCO2の物理量や状態を監視しデータを有効利用するスマートメーターを設置していく。

 日本IBMは安全で透明性、信頼性の高いデータ共有を可能にする「IBM Blockchain Platform」、クラウドと既存システムを連携させて俊敏かつ柔軟なIT環境を構築するハイブリッドクラウド技術、バリューチェーンの可視化、自動化、最適化を可能にするAI技術を活用し、CO2NNEXの構築を検討していく。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]