また、SmartDBはワークフローエンジンを備えている。文書が起票されてからの状態遷移を、ボタンをクリックした際の処理を設定するという方法で定義することができる。
例えば、ボタンをクリックしたときに「ステータス」という部品の値を「完了」にするといった具合だ。(図11)

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組織マスター情報と組み合わせることで、簡単なフローからエンタープライズレベルで求められるかなり複雑なワークフローであってもノーコードで実現できる。
SmartDBは、社内の組織情報、ユーザー情報をもち、複数のバインダ(データベース)を連携することができるという点で、企業における業務のデジタル化への親和性が高いツールだ。
ITプロフェッショナルはもちろん、一般の現業部門のスタッフであっても十分に活用可能であり、事実、ユーザー事例でもITの専門知識がなくても業務がデジタル化できたという声が寄せられている。
今回はノーコードと呼ばれる製品のうち代表的なものとして、ウェブ/スマホアプリ型からウェブアプリ作成ツールのbubble.ioを、データベース+ワークフロー型からSmartDBを取り上げ、具体的にアプリを作成してみた。
ノーコードツールといっても、タイプによってその対象とするユーザー、アプリケーションの特性、設計思想などまったく異なることがわかっていただけたかと思う。
ウェブ/スマホアプリ型は、UIやロジックに関しての自由度が高く、従来のコーディングによるアプリケーション作成と遜色ないレベルでアプリを作り込むことができる。社内での利用ではなく一般に公開するアプリを開発するには、このタイプのノーコードツールが最適だ。弱点は、コーディングは不要になったものの、システムの設計、構築に関する知識や経験がなければ現実的にアプリケーションを構築するのが難しいという点だ。ITプロフェッショナルのための電動工具という位置付けになる。
一方、データベース+ワークフロー型は、デジタルの民主化を体現したツールだ。専門知識がなくても、実現したい業務知識さえあれば誰でも業務をデジタル化することができる。企業における利用にフォーカスしているため、組織やユーザーのマスター、権限の管理といったレイヤーは標準で用意されており、ユーザーは実現したい業務のことだけを考えればいい。
いずれのタイプにしても向き、不向きがあるので解決したい課題にあわせて適切なツールを選択することが重要だ。
次回は、データベース+ワークフロー型ノーコードを利用した企業における業務のデジタル化の成功事例として、SmartDBのユーザーであるヨネックスに話を聞く。
(第3回は6月中旬にて掲載予定)

- 石田 健亮(いしだ けんすけ)
- ドリーム・アーツ 取締役執行役員 CTO
- 1998年、東京大学工学部機械情報工学科卒。東京大学大学院在学中の2000年4月にドリーム・アーツに入社。製品開発部長を経て、新規事業推進室にて現在3万9000店舗以上に利用されている「Shopらん」の企画開発を手がける。2015年1月、最高技術責任者に就任。「ものづくりの力」を強化すべくエンジニアの育成にも注力している。