三井化学はNECと連携し、人工知能(AI)を活用して、市況に左右されやすい三井化学の製品の価格変動を予測する実証実験を実施した。実証では、米dotDataが開発したデータサイエンスプロセス全体を自動化するAIソフトウェア「dotData」を活用した。NECはdotData社とのパートナーシップに基づき、さまざまな顧客のDX(デジタル変革)を支援している。
三井化学は、今回の実証実験を踏まえ、適正な調達・生産・販売による利益の向上と価格変動による損失回避に貢献するAIを活用した需要予測システムの本格導入を目指す。
実証では、予測が難しいとされる市況に左右されやすい三井化学の具体的なある製品を選定し、当該製品の過去数年にわたる日次や週次の在庫データや工場稼動率、販売数量などの多様なデータを基にdotDataで分析し、無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出することで、高精度な価格の予測モデルを構築した。
dotDataを活用することで、継続的に改善すべき点もあるものの、翌月の当該製品の高精度な需要予測が可能となった。市場動向を踏まえ、より良い販売計画立案とそれに基づいた調達・生産が可能となり、在庫金額の数億円規模の削減も見込めるという。さらに、人間では気付きにくい「Aの動きとBの価格に相関がある」など、新たな業務知見も得ることができたとしている。