Microsoftは、米国時間11月2日から開催されているオンラインベント「Ignite」で、同社の各種データベースプラットフォームや、同社のクラウドデータウェアハウスやデータレイクサービスを組み合わせた製品である「Azure Synapse Analytics」の新機能を数多く発表した。また、「SQL Server」の新バージョンのプレビュー版が公開された(これについては別立てで1本記事を用意している)。この記事では、それ以外の「Azure Cosmos DB」「Azure Database for MySQL」および「Azure Database for PostgreSQL」「Azure Managed Instance for Apache Cassandra」に関する発表内容について紹介する。
オープンソースデータベース、SQL
MicrosoftがAzure Database for MySQLとAzure Database for PostgreSQLの一般提供を開始したのは2018年のことだ。その1年前にこれらのサービスがプレビュー版として公開されたときには、Microsoftが自ら、自社製品である「SQL Server」と競合するオープンソースのプラットフォームをサポートすると発表したことが大きなニュースになった。しかし、これは合理的な判断でもあった。顧客がそれを望んでおり、同社のクラウドコンピューティングとストレージの売上に貢献するのであれば、Microsoftの利益になるからだ。
話題性はともかく、Microsoftがこれらのサービスを最初に提供したときには、その内容は必要最低限のものだった。もちろんこれは、バージョン1.0のリリースではよくあることで、Microsoftはその後、着実に製品を改善してきた。2019年にCitus Dataを買収したことで可能になった「Azure Database for PostgreSQL - Hyperscale」の提供開始もその一環だ。
Microsoftは11月2日、このサービスに「フレキシブルサーバー」と呼ばれるデプロイメントオプションを追加した。名前からも分かるとおり、このオプションは「単一サーバー」と、大規模なスケールアウトアプリケーション向けの「Hyperscale」の中間にあたるサービスだ。フレキシブルサーバーは、データ損失をゼロにする高可用性オプションや、バースト可能なコンピューティングレベル層、コスト最適化のための機能などを備えており、これには、使わないときにサーバーを停止する(課金も停止される)機能も含まれている。フレキシブルサーバーの一般提供は11月中に開始される予定だ。
また、NoSQLに関しては、11月2日付けで「Azure Managed Instance for Apache Cassandra」の一般提供が開始された。「Cassandra」はオープンソースの分散データベース管理システムだ。このサービスは、オンプレミスやクラウドにある顧客のCassandraインスタンス間でデータを同期できる自動同期機能を備えている。
Cosmos DB
興味深いことに、Managed Instance for Apache Cassandraは、Azure Databaseチームではなく、Cosmos DBのチームによって管理されている。しかしこれは、Cosmos DB自体がNoSQLデータベースであり、サポートされている多くのインターフェースの中にCassandra APIが含まれていることを考えると、それほど不自然なことではない。オンプレミスでCassandraを利用しており、そのインスタンスをクラウドに移行したいと考えている顧客にとっては、Cosmos DBは一考の余地がある選択肢だろう。純正のCassandraは互換性が高いため、Cosmos DBへの移行を行う前のクラウドへの移行は、比較的スムーズなものになるかもしれない。
Cosmos DBはSQLインターフェースも提供しているが、Igniteでは、このインターフェースを使った部分的ドキュメント更新機能が一般提供段階に入ったことも明らかになった。Microsoftによれば、これは顧客からのリクエストがもっとも多かった機能だという。また、「Azure Advisor」に関しても、カスタマイズによるプロビジョニングスループット使用上限の設定機能やコスト削減のためのアラート機能も一般提供が開始された。意図しない支出を防ぐ機能は、開発者にとってありがたい機能だろう。
(Microsoftは、筆者Andrew Brustのアドバイザリー企業Blue Badge Insightsの顧客となっている。Brustは、Microsoft Data Platform MVPだ)。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。