海外コメンタリー

洪水や森林火災のリスク軽減へ--グーグルやAWSの機械学習はいかに活用されているか

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-11-15 07:30

 GoogleとAmazon Web Services(AWS)が、世界中で増加している環境危機に対する各国の対応を支援することにつながる可能性のある、機械学習モデルなどの取り組みについて明らかにしている。

Google and AWS harness the power of machine learning to predict floods and fires
提供:Getty Images

 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が現地時間10月末~11月12日にかけて開催された。そうした中、両社は洪水や森林火災などの気候変動に伴う災害のリスクを軽減するための取り組みを紹介している。

洪水

 Googleは、機械学習モデルを用いた洪水予報システムについての査読なしの論文を公開している。このシステムは、観測データのある大規模河川の氾濫に焦点を当てた「正確なリアルタイム洪水警報」を、関係機関や一般市民に提供することができるという。この論文は、Google Researchとイスラエルのエルサレムヘブライ大学の研究者によって書かれたものだ。

 Googleが2018年に始めた洪水予報のこの取り組みでは、洪水の影響を受ける地域に住む人々のスマートフォンにアラートを送信している。これはGoogleのクライシスレスポンスプログラムの一環で、現場で働く人たちや救急隊員と協力して技術開発を進めている。

 このプログラムの対象地域は、2018年からの3年間でインドとバングラディシュの大部分に拡大され、2億2000万人が住む地域がカバーされた。また2021年のモンスーンの季節までには、対象地域がさらに拡大され、3億6000万人が暮らす地域がカバーされるようになった。

 Googleのエンジニアリングおよび危機対応担当バイスプレジデントのYossi Matias氏は、ブログ記事の中で、「洪水予報技術が向上したことで、1億1500万件以上のアラートが送信された。これは、以前送信されたアラートの3倍の量だ」と述べている。

 Googleのアラートでは、河川の水位が何センチメートル上昇したかが通知されるが、伝えられるのはそれだけではない。「Googleマップ」のレイヤーで、洪水の範囲と深さを表示する「浸水マップ」を提供できるようになっている。同社の新たな浸水モデルや、あらゆるモデル全般の進化によって、大幅にスケールアップし、より多くの人々にこうした情報を提供できるようになっているという。

 Googleの研究者らは、「これまでにも有望な結果を示した研究はあったが、機械学習を中核的なコンポーネントとして使用し、適切なタイミングで正確な洪水警報を計算できる、実際に運用可能なシステムはほとんどなかった」と述べている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]