はじめに
本連載は、コロナ禍で注目が集まったHR(人材)トピックスを取り上げ、働く現場の変化を捉えることで、読者の皆さんの業務やキャリア形成に生かせる見通しを提供することを目指しています。今回は「従業員の健康」に焦点を当て、「パルスサーベイ」というツールを紹介します。
コロナ禍で働く人のストレスは上昇
カオナビHRテクノロジー総研が2021年1月に実施した調査で、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の2019年度から、猛威を振るった2020年度にかけての業務上のストレスの変化を聞いています。「変化なし」が最多ですが、次点で「上昇」が42.7%でした(図1)。この結果のみで「コロナ禍がストレスを引き起こした」という因果関係は語れませんが、この調査では同時に「生産性の実感」「業務上の満足度」「学習意欲」の変化も聞いています。それらを「上昇」とした人は10%前後、「低下」とした人は20%前後にとどまっており、「ストレス上昇」が顕著に高い数値を示したことは注目に値します。

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リモートワークは従業員の健康にどう影響するか
しかしコロナ禍は、従業員の健康にとってマイナスばかりではありません。特にリモートワークは、健康面にプラスを与えているともいえます。
第2回の記事で、リモートワークによる時間の使い方の変化をお伝えしました。「リモートワークを始める前よりも、費やす時間が増えた活動があれば教えてください(選択式、複数回答可)」という質問には、「睡眠の時間」は29.0%、「運動する時間」は21.2%の人が増加したと回答しており、リモートワークの強力なメリットです(図2)。

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しかしながら「現在の在宅勤務、テレワーク、リモートワーク等の『出社しない』働き方において、不満点はありますか(選択式、複数回答可)」という質問には、「仕事とプライベートの境が曖昧になる」「運動不足やストレスにより、自身の体調管理が難しい」という回答が上位に挙がっています(図3)。初の緊急事態宣言が発令された2020年5月の調査結果のため、多くの会社で急きょリモートワークが開始された影響は差し引く必要がありますが、リモートワークには「生活が不規則になりやすい」という面があるかもしれません。

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