MicrosoftとMetaが人工知能(AI)関連の提携を拡大すると発表した。Metaは、「戦略的なクラウドプロバイダー」として「Microsoft Azure」を選択し、AI分野の研究開発を加速させていくという。Microsoftは米国時間5月25日、オンラインで開催中の年次開発者会議「Microsoft Build 2022」の2日目に、両社の提携に関する最新情報についてさらなる詳細を明らかにした。
Satya Nadella CEO
提供:Mary Jo Foley
MicrosoftとMeta(当時のFacebook)は2017年、異なるAIフレームワーク間でディープラーニング(DL)モデルを利用できるようにする「Open Neural Network Exchange」(ONNX)フォーマットを発表した。Microsoftは2018年、ONNXフォーマットによる機械学習(ML)モデルのための推論エンジンである「ONNX Runtime」をオープンソース化している。
Metaは同日、Azureを使用し、同社のAIグループ全体の研究開発を加速させる方針を明らかにした。Metaは、同社の大規模AI研究ワークロードのいくつかを支えるために、Azureで最新仮想マシン(VM)シリーズ(「NVIDIA A100 Tensor Core 80GB GPU」を搭載した「NDm A100 v4シリーズ」)を利用して、5400基のGPUを搭載した専用のAzureクラスターを使用する計画だ。Metaは2021年、大規模AI研究の一部でAzure VMの利用を開始した。Azureプラットフォームは、分散型AIの訓練の高速化を実現する。
また両社は同日、AzureでMetaのDLフレームワーク「PyTorch」の採用を拡大するために協力していくと発表した。Microsoftは2021年、AzureでPyTorchを使用している法人顧客向けのサポートを強化すると発表していた。Microsoftが「向こう数カ月で」新たなPyTorch開発アクセラレーターを実現し、AzureでPyTorchベースのソリューションの迅速な実装を促すと約束したことが今回の発表における目新しい点だと筆者は考えている。
Microsoftは24日、「Azure OpenAI Service」がプレビュー段階に入ったと発表した。プレビュー参加者は、「GPT-3」ベースのシリーズ(「Ada」「Babbage」「Curie」「Davinci」)や「OpenAI Codex」シリーズ、埋め込みモデルを含む、OpenAIのさまざまなモデルにアクセスし、それらをAzureの法人向け機能によって組み合わせられるようになる。Microsoftは2019年、OpenAIの「新たなAIテクノロジーの商用化に向けた推奨パートナー」となり、OpenAIに10億ドル(約1270億円)を出資した。
また、「Azure Cognitive Service for Language」で、文書や会話の要約を生成できるようになった。Microsoftは、コールセンターの運用で活用できるとしている。また同社は、カスタム名前付きエンティティの認識(Custom Named Entity Recognition:NER)などの新たな自然言語サービス機能の一般提供も開始した。これにより開発者は、サポートチケットや請求書といった、顧客のドメインに固有のラベルを用いてテキストを整理、分類できるようになる。
さらに、「Azure Machine Learning」の責任あるAI(Responsible AI:RAI)ダッシュボードがプレビューになった。開発者やデータサイエンティストがより容易に責任あるAIを導入できるよう支援する機能だとMicrosoftは説明している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。