Microsoftはここ数年、データベースとアナリティクスを統合することの利点を力説してきた。本格的に始まったのは、「Azure Synapse Analytics」が発表されたときのことだ。同社は米国時間5月24日オンラインで開催している開発者会議「Build 2022」の初日、このデータ統合戦略に新たな要素を追加した。ガバナンスだ。
Microsoftは、データベース、アナリティクス、ガバナンス製品の統合スイートを「Microsoft Intelligent Data Platform」と呼んでいる。この新しいプラットフォームには、「SQL Server 2022」「Azure SQL」「Azure Cosmos DB」「Azure Arc」対応データサービスなどのほか、「Azure Synapse Analytics」「Power BI」、新たに名称が変更された「Azure Purview」コンプライアンス/ガバナンス製品ファミリーも含まれる。
しかし、こうしたグループ化よりも興味深いのは、Microsoftがまた新たなプラットフォームを作ろうとしている理由だ。
Azure DataチームのコーポレートバイスプレジデントRohan Kumar氏は、今後Microsoftは、「Microsoft Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」について「Microsoft Cloud」として語るのと同じように、データエステートの3つの側面(データベース、アナリティクス、ガバナンス)について「Microsoft Intelligent Data Platform」として語るようになるだろうと述べた。Microsoftには壮大な計画がある。「世界のデータをMicrosoft Cloudに」持ってくること、「世界のすべての人がデータを使用してより優れた意思決定を下せるようにする」ことだ。
Kumar氏はBuildで、Microsoftやパートナーはこれまでにも、データベースとアナリティクスを統合しようと取り組んでいるが、「アクションをインサイトに変えるには、数日はかからないとしても、依然数時間を要する場合がある」と筆者に話した。アナリティクスは今日、将来の意思決定の単なるバックエンドのものではなく、データは今日下されるあらゆる判断の一部を成しているため、アナリティクスはこのプラットフォーム、アプリ、サービスの核の部分となる必要があると同氏は言う。
Microsoftは、この新しいIntelligent Data Platformの下で統合されているサービスについて、いくつかの発表を行っている。
- SQL Server 2022:パブリックプレビューになった。Microsoftは、これまでで最もAzureに対応したリリースだとしている。Azure Synapse LinkとMicrosoft Purviewを統合し、データからより深いインサイト、予測、ガバナンスを大規模に得られるようになるという。「Azure SQL Managed Instance」の新しいリンク機能と連携し、災害復旧(DR)で役立てられる。
- Azure Synapse Link for SQL:パブリックプレビューが利用可能になった。ローコード/ノーコード、「ほぼリアルタイム」のアナリティクスなどを活用できるようになっている。
- Purview Data Estate Insights:最高データ責任者(CDO)やガバナンス関係者を対象としたサービスだ。現在プレビューになっており、数カ月中に一般提供が開始されると発表された。
- Power BIにおけるデータマート:「Power BI Premium」に含まれる新しいセルフサービス型の機能だ。ITチームの力を借りずに、ユーザーが持つデータセットからアクショナブルなインサイトを見出せるようにする狙いがある。Microsoftは、この「datamart in Power BI」について、ITチームに頼らず、「多くのPower BIユーザーにターンキーのデータウェアハウス」を提供するものと説明している。現在パブリックプレビューとなっている。
最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏は、Buildの基調講演で、データは開発者が「アプリで考慮するべき最も重要な事項」だと話した。さらに、「アナリティクスはアプリのエクスペリエンスで不可欠な要素になる」とし、Eコマースをこの新しいレベルの統合が必要になる理由の最適な例に挙げた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。