クラウドの採用は減速していないが、だからといって、2023年がオンデマンドコンピューティングサービスのユーザーにとって楽な年になるわけではない。
テクノロジーアナリスト企業のGartnerが先頃発表したレポートによると、パブリッククラウドサービスに対する2022年の世界の消費者支出額は4903億ドルで、2023年には20.7%増の5918億ドルに達する見通しだという。参考までに、2022年の成長率は18.8%と予想されている。
一方、コンサルタント企業のKPMGが発表した「KPMG global tech report 2022」によると、10社中9社の企業は自社のクラウドシステムの採用について「先進的」と考えており、ほぼ4分の3(73%)は現在、戦略的なワークロードをクラウドに移行しているところだという。クラウドコンピューティングは、多くの企業にとって、テクノロジーの基本的な柱とみなされるようになっている。
KPMG Internationalのグローバル最高デジタル責任者のLisa Heneghan氏によると、こうした変化は、今後12カ月、そしてそれ以降も、経済の状況に関係なく、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティスト、そのほかの高いスキルを持つテクノロジーワーカーに大きなチャンスをもたらすという。
Heneghan氏は米ZDNETに対して、「機械学習や自然言語処理といった新しいデータテクノロジーとクラウドプラットフォームの間には、高い相互依存性があり、レガシーテクノロジー組織にとっては特に困難な状況となっている」と語った。
クラウドの急速な採用をサポートするのに必要な技術的専門知識は、採用担当者が2023年に向けて検討しなければならないことだ。レガシーシステムの寿命が尽き、新しいプラットフォームと既存のプラットフォームが相互に接続されるようになることを考えると、なおさらだ。
企業は既存のエンタープライズアプリケーションチームのスキルを向上させるのに苦労するかもしれない、とHeneghan氏は話す。代わりに、雇用するのが難しい優秀な人材群を見つける必要が生じる可能性もある(同氏はそれらの人材を「全く新しい」グループと呼んでいる)。それは意外なことではないはずだ。KPMGのglobal tech reportによると、組織によるデジタルテクノロジー採用を阻む最大の障壁は、依然として人材不足であるという。
サイバーセキュリティスタッフの不足は、この1年間で特に深刻になっている。サイバーセキュリティは、非常にきつい仕事であり、ストレスや燃え尽き症候群が原因で離職する人も多い。
特に日常業務の多くが分散したチームによってオフプレミスで行われるようになった現在においては、あらゆるビジネス上の意思決定にサイバーセキュリティを組み込む必要がある、という事実にITリーダーやビジネスリーダーがようやく気づき始めたように思えることが、その原因である。
マルウェアとランサムウェアは進化し続けている。新しい手法や攻撃経路がハッカーによって発見される中で、企業のITセキュリティ対策のあらゆる部分が悪意ある攻撃者によって詮索され、精査されるようになるだろう。