Salesforceは米国時間9月13日、同社が開催する年次カンファレンス「Dreamforce」において、サステナビリティー(持続可能性)ソリューション「Einstein for Net Zero Cloud」を発表した。
Einstein for Net Zero Cloudは、企業の環境データを収集・分析・報告してサステナビリティー経営の実現を支援する「Net Zero Cloud」に、同社のAIプラットフォーム「Einstein」を搭載したソリューション。急速に進む規制に対して、ESG(環境、社会、ガバナンス)レポートの作成を容易にするという。
企業の全てのESGデータをNet Zero Cloudに集約し、測定、分析、アクションを行う
同ソリューションでは、温室効果ガス(GHG)の排出量を測定するScope1/2/3にわたる環境フットプリントを容易に評価し、報告できる。また、社会とガバナンスの指標を管理し、米国サステナビリティー会計基準審議会(SASB)や欧州連合(EU)の企業サステナビリティー報告指令(CSRD)などに準拠したESGレポートを作成する。
Einsteinを搭載したNet Zero Cloudは、企業がESGレポートの作成プロセスを合理化できるよう、特定のレポートフレームワークに沿ったプロンプトに基づいた回答を提案する。例えば、前年の開示情報から企業のESGデータやアップロードされた文書、企業のGHG排出量といったデータを活用できるという。このデータを利用してレポート内の各質問に対する回答が自動的に入力されるという。
また、同ソリューションの新機能「CSRD Report Builder」では、CSRD固有の要件に沿ったレポート作成の自動化をサポートする。この機能は、Salesforceの「Disclosure and Compliance Hub」にある既存のNet Zero Cloud Report Builderのコレクションを拡張する。
ほかにも、新たな機能である「Materiality Assessment」では、ESGマネージャーが事業にとって最も重要なトピックを特定できるようになるという。カスタマイズ可能な調査を実施することで、ステークホルダーの意見を容易に収集し、トピックの重要度をランク付け、スコア算出をした上で結果をマトリックスで可視化できる。この結果を基に、ESGマネージャーは自社のESGプログラムと戦略をより効果的に策定できるとしている。
Materiality Matrixの画面。ESG戦略における重要なトピックを特定し、スコア算出を可視化する
Product Management, Net Zero Cloud Kevin Vranes氏
講演に登壇したNet Zero CloudのプロダクトリーダーであるKevin Vranes氏は、2024年以降に適用されるCSRDを話題に挙げ、「ESGレポートには企業のエネルギー使用量や炭素、資産、サプライヤーに関するデータなど、非常に詳細なデータが必要になる。私たちがソリューションを構築する上で重視しているのは、それらのデータをどのようにまとめてEUなどの各機関に報告するかということだ」と説明。これを踏まえて、Net Zero Cloudのロードマップについては「今後数年間、特にESGレポートに注力するつもりだ」と述べた。
また、ESGの可視化や予測において、AIを活用したエネルギー使用予測やWhat-if分析、シナリオシミュレーションなどの機能をリリースするという。ほかにも、データの収集や炭素計算、「Net Zero Marketplace」の強化を随時行っていくと説明した。
Net Zero Cloudのロードマップ
(取材協力:セールスフォース・ジャパン)