LPI-Japan、Linux技術者認定「LinuC」の最上位試験を発表

國谷武史 (編集部)

2023-10-12 15:46

 エルピーアイジャパン(LPI-Japan)は10月12日、Linux技術者認定「LinuC」の最上位試験となる「LinuCシステムアーキテクト認定試験」を11月6日から実施すると発表した。同日に試験予約を開始し、11月6日からテストセンターとオンラインで受験できる。

Linux技術者認定「LinuC」の構成と新しい認定の位置付け
Linux技術者認定「LinuC」の構成と新しい認定の位置付け

 「LinuCシステムアーキテクト」は、LinuCの最上位に位置付けられる。オンプレミスやクラウド、物理、仮想化を含むシステムのライフサイクル全体を踏まえた最適なアーキテクチャーを設計、構築できることや、それらの実務に必要な具体的な技術スキルを持って実作業にも対応できること、技術の仕組みを体系的に理解してオープンソースソフトウェア(OSS)を活用したシステムアーキテクチャーを設計、構築ができることなど、ITシステム開発プロジェクトの技術リーダーに求められるスキルを有する上級エンジニアを認定する。

 同日の説明会で理事長の鈴木敦夫氏は、就任直後の2019年春に100社以上のIT現場にヒアリングを行い、「問題の予見やトラブルを解決できるエンジニアがいない」「新しい技術への対応や学び直しができない」「技術を取りまとめられない」といった課題を聞いたと述べる。特定の技術や製品、サービスの利用に詳しい一方、技術の仕組みを学んで主体的に考えたり技術を応用したり問題解決をしたりできないという本質的な要因を把握してきたとした。

LPI-Japan 理事長の鈴木敦夫氏
LPI-Japan 理事長の鈴木敦夫氏

 このため最新のコンピューターやソフトウェアなど技術の基礎的な概念や仕組み、理論の理解促進と、専門技術を活用して技術的に統括できる技術者を育成するため、約4年をかけて今回のLinuCシステムアーキテクト認定試験を開発したという。この過程では、従来のLinuCの構成見直しや追加開発なども行い、2019年12月にオープンテクノロジーキャリアマップを作成、公開したほか、2020年からLinux Foundationと連携して、Kubernetesコンテナーなどクラウドネイティブ関連技術の内容を追加、拡充してきた。

 鈴木氏は、これによりIT技術者のさらなる成長の促進、高い顧客満足の獲得やプロジェクト成功への貢献、OSSなど汎用的な技術を活用してベンダーロックインを軽減したシステムの設計、社内での技術者育成、中途採用における上級技術者のスクリーニングなどが期待されるとした。

 システムアーキテクト関する認定には、情報処理推進機構(IPA)の「情報処理技術者試験」「システムアーキテクト試験」あるいはITベンダー各社のものがあり、鈴木氏は、「LinuCシステムアーキテクト認定がこうした資格でカバーされていない汎用技術や実務を評価し、補完関係になる」と説明した。LinuCシステムアーキテクト認定は、ITスキル標準(ITSS)のレベル4に相当するものになるという。

各種システムアーキテクト試験の位置付け
各種システムアーキテクト試験の位置付け

 試験開発などを担当したITエキスパートの安良岡直希氏によると、出題範囲や問題の作成、レビューなどに39人の現役の専門家が協力しており、スコープの明確化や整理のために長期間議論した。

 問題数は1試験当たり約40問で、試験時間は90分(アンケート回答の5分を含む)になる。出題範囲は、SA01試験がシステムアーキテクチャー、ネットワークとストレージの選定、可用性の設計、性能・拡張性の設計、SA2試験が仮想マシンとコンテナーの設計、セキュリティ、監視と分析、継続的開発とテスト・デプロイ、トラブルシューティングの全9エリアと幅広い。一般的な学習期間の目安は半年から1年程度になるという。1試験当たりの受験料(税別)は、国内受験が2万5000円、海外受験が250ドルとなっている。

例題と解説
例題と解説

 資格認定の条件は、「有意なLinuC レベル2の認定」取得済みでSA01とSA2の両試験の合格になる。有意なLinuC レベル2の認定を取得していない場合でも、先行してSA01とSA2の両試験に合格し、後にレベル2認定を取得すれば、LinuCシステムアーキテクトとして認定される。なお認定には、SA01とSA2の試験を5年以内に合格している必要がある。また、LinuCにはレベル3まであるが、LinuCシステムアーキテクト試験は非機能要件を通してスキルを問うため、レベル3の取得を前提条件にしていないという。

 鈴木氏は、当面における年間の目標認定者数を1000人以上とし、「まずはITエンジニア40人のうち1人が認定者となる状況を目指し、将来的に10人に1人といった水準での普及を目標としたい」と語った。

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