私立開成学園の開成高等学校は、同校の食堂で9月以降の導入を予定しているモバイル注文ウェブアプリ「学食ネット」の決済方法として、決済サービス「PayPay」を採用した。PayPayが8月26日に発表した。
学食ネットは、開成高等学校に在籍する3年生の秋山弘幸さんと2年生の周詩喬さんが食堂の食券機に並ぶ列の混雑を課題と捉え、企画提案から開発までを担い、PayPayが開発者向けに公開している「Open Payment API」を活用して同サービスの導入を実現した。新たな注文/決済方法の導入により、同学園の食堂における昼食時の混雑緩和、キャッシュレス化が期待される。
食券画面を提示して配膳を受ける様子
学食ネットの利用では、まずメニューを選択。ユーザーは日替わりメニューや売り切れなどの情報も確認でき、使用しなかった食券は自動で返金される仕組みとなっている。決済方法としてPayPayを選択すると、PayPayの決済画面に遷移し、決済金額が自動で入力される。ユーザーは食券の画面を食堂のスタッフに提示し、配膳を受け取れる。
食堂側は、管理画面から1週間分のメニューを事前登録できる。調理室に設置のタブレットからメニューの販売/売り切れを管理し、ユーザーのアプリ画面へリアルタイムに反映可能だ。
学食ネットで表示されるメニューのイメージ
私立開成学園の在校生徒数は、延べ2000人を超える。昼食時には多くの生徒が食券機に並んで食券を購入する必要があり、食事をする時間が限られてしまうなどの課題があった。
秋山さんと周さんが2023年10月に開成高等学校の1~3年生を対象に実施したアンケートによると、約6割の生徒が食券機の待ち時間が長く利用を諦めた経験があり、半数以上が食べる時間が足りずに急いで食事をしたことがあると回答し、食券機の待ち時間に多くの生徒が不便を感じていると分かったという(有効回答数:200)。食堂を運営するトラスティフードも、列の混雑による機会損失のリスクを感じており、モバイル注文ウェブアプリの導入を決定した。
学食ネットの導入により生徒は、休み時間に昼食メニューを選べるため、食券機に並ぶ時間の短縮が期待される。同調査によると、回答した生徒の約7割がPayPayを利用していたこと、PayPayが開発者向けにOpen Payment APIを公開していることを踏まえ、同サービスの導入に至ったという。
開成高等学校3年生の秋山弘幸さん(左)と、2年生の周詩喬さん