GENESISと呼ばれる新しいプロジェクトが披露されたBEAWorld 2007 San Francisco、BEAが2年前に、AquaLogicで本格的に取り組みを始めたSOAは、今回既にメッセージの中心ではなかった。
BPMやWeb 2.0に関しても個別に語られることは少なかった。変わって目立ったキーワードは「Fabric」だ。同社のエグゼクティブにGENESISについて聞く中でも、このFabricという言葉が頻繁に使われた。
彼らの説明をとおして見えてきたのはGENESISはBEAの様々なテクノロジをFabricとして「統合」し、これを通して企業内の「参加と共有」を実現するものだということだ。
本稿ではBEA Worldの総括としてGENESISの全体像について紹介する。
まず、GENESISを知る前に、基礎知識として同社が1年前に提唱したSOA 360°というアーキテクチャおよび同社のWeb 2.0への取り組み、そして前述のFabricの概念について理解しておきたい。
SOA 360°については本誌でも既報の通り。ここでは詳しく説明しないが、ビジネスからシステムにわたり、SOAを実現するための全てをサポートするアーキテクチャだ。このなかにはWorkSpace 360°とよばれるデザインツールなどが含まれ、全ての情報はいったんメタデータを付与してレポジトリに蓄えられる。そして、それぞれのコンポーネントはこのレポジトリから、必要な情報を取得し、ユーザーに応じて最適なプレゼンテーションやインタラクションを提供する。
実はこの「SOA 360°」というキーワードは既に使われていない。この1年間で「SOA and Beyond」さらに「Enterprise 360°」といったキーワードに置き換えられていた。つまり、SOAにとどまらず、企業システムに関わる全ての問題を解決しようという方向性に変わってきたわけだ。GENESISもまた、この流れを進めるものとなる。
次にWeb 2.0について。BEAはPages/Ensemble/Pathwayという3製品(以下PEP)をリリース、コンテンツや人へのタグ付けによる次世代ポータル&サーチ、データへの容易なインタラクションを実現するページ作成ツールなどで、ナレッジワーカーへのリーチを行った。PEPを担当する同社のJay Simonsバイス・プレジデントは「SOAやBPMの強力な可能性に、ビジネスユーザーがアクセスできるようになる」という利点を指摘していた。これはGENESISにそのまま持ち込まれている。
そしてFabric。Fabricとはつまり布地のこと。エンタープライズシステムの様々なサービスを布地に載せ、織り込み、ひとつにするイメージだ。Fabricという言葉はいまやSOAやBPMに関する文脈で、BEA以外にも製品名に"Fabric"を冠するwebMethodをはじめ、Oracleなどによって、同様の意味で広く使われるようになっている。
さて、以上のことを前提としてGENESISとはなにか、いくつかの側面から説明をしよう。